墓地の建物を背景に映画鑑賞を楽しむハリウッドのユニークなイベントは毎週完売になるほどの人気。宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」なども上映されます(写真は公式HPより)
墓地の建物を背景に映画鑑賞を楽しむハリウッドのユニークなイベントは毎週完売になるほどの人気。宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」なども上映されます(写真は公式HPより)

 日本では連日40度超えの酷暑が伝えられていますが、ここロサンゼルス(LA)では暑い夏の夜にぴったりのちょっと変わった涼しげな映画鑑賞イベントが行われています。毎年6月から8月にかけて期間限定で、なんとハリウッドの墓地でピクニックしながら映画を楽しむという映画の都ハリウッドならではのユニークなイベントが行われているのです。2002年から始まった往年のハリウッドスターたちも眠るハリウッド・フォーエバー墓地で毎週土曜日の夜に行われる「シネスピア」は、今ではすっかりハリウッドの夏の風物詩となっています。

観客は墓地内の芝生の上に座ってピクニックを楽しみながら映画を鑑賞できます(写真は公式HPより)
観客は墓地内の芝生の上に座ってピクニックを楽しみながら映画を鑑賞できます(写真は公式HPより)

 上映作品は30年代から90年代の映画が中心で、往年の名作からアニメ、SFやアクションなど大ヒット映画まで様々な作品が毎週上映されます。日本ではお墓で映画鑑賞なんて想像ができないので、肝試し?とちょっと怖そうなイメージがありますが、アメリカの墓地は日本とは違ってとてもきれいで広大な公園みたいな雰囲気なので、家族連れで毎週大賑わいです。観客はブランケットや椅子、敷物などを持参し、芝生の上で寝そべってリラックスしながら映画を楽しむことができます。しかも、ワインなどのアルコール類やピザやサンドイッチ、お菓子などの食べ物の持ち込みもOKなので、まさにピクニック気分で映画を見られるのです。墓地内にはスナックやビールなど飲み物を販売する売店も出店し、ちょっとしたお祭り気分まで楽しめちゃいます。野外なので、上映はもちろん暗くなってから。日によって多少の差はありますが、だいたい7時15分頃に門が開き、映画が始まるのは午後9時。観客の多くは席を確保したらさっそく宴会をスタートさせます。そして腹ごしらえが終わった頃に映画が始まります。映画は墓地内にある建物の壁にプロジェクターで映しだされます。LAも日中は30度を超える暑い日もありますが、乾燥しているので夜は日本のような熱帯夜になることはほとんどないため、この時期の夜はこんな風に野外で映画上映を楽しむイベントがLA近郊あちらこちらで行われています。

普段なかなか入ることがない夕暮れから夜の墓地を散策するのはちょっとした肝試し気分(写真は公式HPより)
普段なかなか入ることがない夕暮れから夜の墓地を散策するのはちょっとした肝試し気分(写真は公式HPより)
花火大会が行われる日もあります(写真は公式HPより)
花火大会が行われる日もあります(写真は公式HPより)

 ちなみにこのハリウッド・フォーエバー墓地は、チャーリー・チャップリンら往年の名スターたちのお墓があることで有名で、昼間なら有名人のお墓巡りを楽しむこともできます。墓地内の売店でスターのお墓の場所が記された地図が販売されている他、土曜日の朝にはガイドの説明を聞きながら墓地内を巡る有料ツアーも行われています。映画上映はチケットが完売になることも多いので、ハリウッドならではの映画鑑賞に興味のある方は公式HPcinespia.orgで事前に購入することをおススメします。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。日刊スポーツ・コム「ラララ西海岸」)