アバロンは小さな街ですが地中海のような雰囲気が漂っています
アバロンは小さな街ですが地中海のような雰囲気が漂っています

 ロサンゼルス(LA)の人たちが夏に訪れる近隣のリゾート地と言えば隣国メキシコのバハ・カリフォルニアなどが有名ですが、LAから船で1時間ほどのサンタ・カタリナ島はハリウッドスターたちも別荘を構える身近なリゾート地として知られています。地元では「カタリナ」の名で親しまれる島は、LAの沖合わずか35キロメートルに位置しており、空気が澄んでいる日は対岸からも見渡すことができます。LA南部ロングビーチやサンペドロなどの港町からフェリーが出ており、日帰りのプチ旅行も可能なお手軽なリゾート地として人気があります。島にはもちろん宿泊施設もあるので、数日滞在してのんびりリゾート気分を味わうこともできます。

アバロンへはフェリーで1時間、ヘリコプターだと15分ほど。プライベート機専用の小さな空港もあります
アバロンへはフェリーで1時間、ヘリコプターだと15分ほど。プライベート機専用の小さな空港もあります

 カタリナの魅力と言えばなんといっても手つかずの自然と美しい海、ダイビングやシュノーケル、シーカヤックなどのウオータースポーツ、そして地中海を彷彿させる雰囲気に新鮮なシーフードです。観光客のほとんどはLAからのゲートウェイとなっているアバロンという島の中心部を訪れることになりますが、ここは自動車が規制されていて一部登録した島民を除いて自動車の持ち込みが禁止されているので、空気がとてもきれい。観光客は徒歩でアバロンの街を巡ることができる他、自転車や電動ゴルフカートを借りることもできます。ゴルフカートを借りれば、湾を一望できる山の頂上にも気軽に行くことができ、そこから眺める景色はまさに絶景です。そんな美しさに惹かれて多くのハリウッドスターたちがこの地を訪れており、1880年代後半にはすでに銀幕スターたちに愛される避暑地だったと言われています。1889年には西部劇スターのジョン・ウェインやチャーチル元英首相らも名を連ねる全米最古のフィッシュクラブ「ザ・アバロン・ツナ・クラブ」が設立され、マリリン・モンローも別荘を構えていたと言われています。また、かつて大リーグのシカゴ・カブスのオーナーだった世界最大のチューインガム会社の創設者ウィリアム・リグレー氏が1919年に島の大部分を買い取ってリゾート開発を行ったことから、21年から30年以上に渡ってカブスが同島で春季キャンプを行っていたことでも知られています。その後、自然保護のために島の88%がセントカタリナ島自然環境団体に譲渡されたことで、今でも島の大部分が保護地区に指定されており、人口はアバロンを中心にわずか3700人ほどです。

美しい海と自然はLAっ子たちを癒す夏の人気観光名所。山の上からは湾が一望でき、その息をのむ美しさです
美しい海と自然はLAっ子たちを癒す夏の人気観光名所。山の上からは湾が一望でき、その息をのむ美しさです
湾内にはLA近郊からやってきたたくさんの豪華ヨットやボートが停泊しています
湾内にはLA近郊からやってきたたくさんの豪華ヨットやボートが停泊しています

 また美しい景観と自然を有するカタリナはハリウッド映画のロケ地としても人気が高く、「ジョーズ」(75年)や「ベン・ハー」(60年)など多くの映画の撮影が行われてきました。カタリナには野生のバファローが生息しており、バファローの肉を使ったバファローバーガーが名物となっていますが、実はそのバファローはかつて映画の撮影のために島内に持ち込まれたもので、一部がそのまま置き去りにされて野生化したものだと言われています。

カタリナの名物と言えばバファローバーガー。野生のバファローを見学するツアーもあります
カタリナの名物と言えばバファローバーガー。野生のバファローを見学するツアーもあります

 そんな人口3700人の島に毎年訪れる観光客は1万人以上。美しい街並みと自然を求めてLAからプライベート飛行機やヘリコプター、豪華ヨットで訪れる富豪も多く、LAからもっとも近いリゾート地カタリナは、小さな島ながらたくさんの見所が隠されています。次回は、そんなカタリナの見所を紹介します。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。日刊スポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)