大きなザリガニのような見た目のロブスターは、日本ではあまりなじみがないかもしれませんが、ここアメリカでは高級食材として親しまれています。見た目が伊勢海老に似ており、フレンチだとオマール海老と呼ばれていることからエビの仲間だと思っている人も多いようですが、大きなハサミを持つロブスターはザリガニの一種です。大西洋のアメリカ沿岸に生息するロブスターは、東海岸の中でもとりわけメーン州産がもっとも有名で、1キロ前後の大きさが一般的です。シーフードレストランではテール(尾)部分をグリルしたものだけでなく、一匹丸ごとスチームしたものを提供するお店も多いですが、そんな高級食材をもっと気軽に味わえるとして近年人気になっているのが、ロブスターロール。身がジューシーで甘いとして人気があるプリプリのメーン産ロブスターをファストフード感覚でお手軽に楽しめることから、LAでもフードトラックから専門店まで多くの場所でロブスターロールを楽しむことができます。

東海岸発祥ですが、今ではLAにもロブスターロール専門店がたくさんあります
東海岸発祥ですが、今ではLAにもロブスターロール専門店がたくさんあります

ロブスターロールとは縦半分に切ったパンの中にマヨネーズやレモンバターなどで味付けした山盛りのロブスターを挟んだサンドイッチのことですが、コネチカット州が発祥だと言われています。1929年にミルフォード市のレストランで提供されたのが始まりだったことから、この時出されたスチームした温かいロブスターの身をバターやレモン汁で和えたサンドイッチが、今では「コネチカットスタイル」と呼ばれてLAっ子にも親しまれています。スチームしたロブスターを溶かしバターとレモン汁に付けて食べるのが一般的だったことから考案されたサンドイッチだと思いますが、今ではこれ以外にもマヨネーズやハーブで味付けしたサラダスタイルの冷たいロブスターロールも人気です。こちらはメーン州が発祥だと言われているため、メーンスタイルと呼ぶお店も多いようです。

大きなロブスターの身がゴロゴロ入っているのが特徴。メインスタイルのロブスターロールは野菜も一緒にマリネされた物が多くてヘルシーです
大きなロブスターの身がゴロゴロ入っているのが特徴。メインスタイルのロブスターロールは野菜も一緒にマリネされた物が多くてヘルシーです

人気の秘訣はなんといっても高級食材をお手頃価格でカジュアルに食べられることと、見た目のインパクトからインスタ映えすること。基本は身をほぐして調味料で合えたロブスターがパンに挟まっているというシンプルな料理ですが、お店によって微妙にマリネする具材に違いがあり、好みも分かれると言われています。クラシックでシンプルな味付けのコネチカットスタイルが好きという人もいれば、セロリやエシャロット、ネギなどの野菜も一緒に混ぜ合わせるメーンスタイルがよりヘルシーだとして好む人も多いようです。メーンスタイルでもお店ごとに味付けに特徴があり、ニンニクやアイオリレモン、チャイブ、スパイシーな香辛料を使ったものなどさまざま。また、マヨネーズの量もそれぞれの店でこだわりがあるようです。そしてロブスターロールに使うパンは、バゲッドではなく、ホットドッグを挟むパンを使うのが一般的で、今ではロブスターロール用に考案されたホットドッグのような角が丸いカーブではなく、四角くい専用のパンを使うお店も増えています。自家製パンをオーダーと同時にトーストして提供するこだわりのお店もありますが、ロブスターロールはこんがり焼いたパンと具材の相性も美味しさの秘訣です。個人的にはシンプルにマヨネーズ少量でレモンハーブ、セロリが入ったあっさり目のメーンスタイルがおいしいと思いますが、どこのお店でもジューシーで甘いロブスターの身がゴロゴロと入っていて、かなりの食べ応えなのでこれだけで充分お腹が満たされます。

スチームする前のロブスターはこんな感じ。フィッシュマーケットでは、活ロブスターも売られています
スチームする前のロブスターはこんな感じ。フィッシュマーケットでは、活ロブスターも売られています

気になる方は、ニューヨーク発のルークスというロブスターロール専門店が2015年に日本に初上陸しているようなので、試してみてはどうでしょう。ちなみに、10月から3月にかけては、カリフォルニアでもロブスター漁が解禁されるので、この時期は地元産の活ロブスターを味わうことができます。この時期にLAを訪問される方はカリフォルニア産ロブスターもぜひ楽しんでみてください。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)