新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛命令が出されてもうすぐ4カ月になるロサンゼルス(LA)。5月8日から段階的に経済活動の再開を始め、5月末には全4段階中3段階目となるレストランでの店内飲食や理容院などの再開も認められるなど日常生活に戻りつつありましたが、それから1カ月半ほどで感染者が急増。4日の独立記念日の週末にかけて人の交流が増えたことなどもあり、14日現在の感染者数は14万人を超えています。パンデミックが始まって以来、全米でもっとも深刻な状況だったニューヨークで11日に初めてコロナでの死亡者ゼロが発表された直後の13日、ニューサム知事は州内全てで飲食店での店内飲食を禁止した他、バーやワイナリー、映画館、美術館などの閉鎖を発表しました。さらに感染拡大が懸念されるLAなど南部を中心とする30の郡では、スポーツジムや理容院、ネイルサロン、屋内ショッピングモール、礼拝施設の即日閉鎖も発表され、再び事実上のロックダウンに逆戻りとなりました。
現時点では飲食店での屋外飲食や屋内ショッピングモール以外の小売店の営業は認められていますが、この状況が続けば完全なロックダウンを行う可能性もあるといわれるLAでは14日、パンデミックが始まって以降最多となる4244人の新規感染者を記録。入院患者数も過去最多の2103人となり、病床数の不足も懸念され始める中、ガーセッティ市長は感染状況を4段階で示す警戒レベルが現在の上から2番目に高いオレンジから最高危険レベルのレッドになる可能性が高いと警告。市民に再び不要不急の外出や人の集まりを避けてステイホームするよう求め、歯止めがかからない状況に警戒を強めています。検査希望者の急増からキャパシティー超えで検査場の逼迫(ひっぱく)も起きており、これまでの「症状のあるなしに関わらず希望者は誰でも検査できる」方針から一転して「疑わしい症状のある人」「濃厚接触の疑いがある人」のみ検査を受けるよう求める事態にもなっており、今後数週間は感染者数が増え続けることが予想されています。
しかし、ようやく営業を再開したばかりの事業主にとって再閉鎖は打撃が大きく、「感染予防対策を十分に行っている」として営業を強行する店も出るなど、混乱も起きています。また、2度目のロックダウンの方が最初の時よりも精神的ダメージが大きいと指摘する専門家もいるように、市民の間でも不満の声があがっています。「また3カ月前の状況に逆戻りするのか」という嘆きだけでなく、新規の感染者数が増えているのは検査数が増えているだけでロックダウンは必要ないという声もあります。また、これまで自分の家族や友人など身近で感染者が出ていないことから「コロナは実は嘘なのではないか」と疑いを持っている人も多く、外出自粛の必要性そのものに疑問を持つ人も少なくありません。そんな中、ついに筆者の住むアパートの住民の1人が感染したことが分かり、誰もが感染する可能性があると改めて実感しています。こちらでもトレースと呼ばれる濃厚接触者の調査は徹底されており、濃厚接触が疑われる人には検査を受けるよう連絡がきますが、プライバシー保護のため感染者の氏名はもちろん、どの程度の接触があったのかなど相手が特定されるような詳しい情報は教えてはくれないそうです。筆者のアパートの住民の感染も特に保険当局や管理会社からの連絡はなく、別の住民から「●●号室の人が感染したみたいだから気を付けた方がいい」と教えられて初めて知ったくらいなので、廊下ですれ違ったり、エレベーターやランドリールームを共有しているくらいでは連絡はないのだと分かり、ちょっと意外な感じもしました。
WHO(世界保健機関)が屋内での空気感染の可能性を示したことで、これまで実践してきた手洗い、ソーシャルディスタンス、マスク着用に加えて屋内での密を避けることも重要であることが分かった今、医療体制の逼迫が懸念されるLAでは当面は屋内での活動は制限されることになりそうです。ワクチンが開発されるまではコロナと共存することが求められる中、感染者の数だけで一喜一憂する必要はないと思いますが、LA近隣の郡ではすでに病院の集中治療室(ICU)のキャパシティーが限界に達しつつある中、今後はICUや人工呼吸器のキャパシティーに注視しながら医療崩壊を防ぐことを考えなければならない段階になってきているようです。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)






