東京オリンピック(五輪)の開幕を23日に控え、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない東京都は、12日から来月22日まで4回目の緊急事態宣言が発令されることになりました。

これによって東京五輪・パラリンピックは五輪史上初めて無観客開催となることが決まり、アメリカのメディアも大々的に報じています。変異種「デルタ株」の感染爆発も懸念される中、政府が説明する安心・安全な五輪を開催できるのか、そしてこのような状況下でも開催する意義はあるのか、アメリカメディアの反応をまとめてみました。


◆ロサンゼルス・タイムズ紙

「東京都に緊急事態宣言が発令され、無観客に」と伝えるロサンゼルス・タイムズ紙
「東京都に緊急事態宣言が発令され、無観客に」と伝えるロサンゼルス・タイムズ紙

「東京に緊急事態宣言が発令され、五輪は観客が禁止に」の見出しで、昨夏にコロナ禍で五輪史上初めて1年間の延期という歴史を刻んだ東京五輪が、また新たな不幸に見舞われたと報じています。政府は有観客にこだわっていたものの国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が来日したのと同じ日に一転して無観客を受け入れたと伝える一方、「観客もなく、厳しい行動規制、試合後48時間で帰国命令」とアスリートからの不満の声も紹介しています。バブル方式で厳しい行動規制を強いられる選手たちは、選手村周辺を自由に散策したり、他国の選手と交流することができず、競技スケジュールによっては開会式や閉会式への出席さえも認められないことから、「パンデミック五輪」と揶揄する選手もいるようです。

また、緊急事態宣言下でも中止できない理由として、IOCが手にする莫大な放映料を指摘。IOCの4年ごとの収益57億ドルの実に73%を放映料が占めており、一方の日本の組織委員会もすでに250億ドルを上る準備費用を負担していることから、両者共に無観客であっても五輪開催だけは譲れないとしています。

◆CNNテレビ

「NBCテレビは地獄のような挑戦に直面」と伝えるCNNテレビ
「NBCテレビは地獄のような挑戦に直面」と伝えるCNNテレビ

無観客となった東京五輪を中継するNBCは、地獄のような挑戦に直面していると報道。緊急事態宣言の発令によって、無観客となった今大会はテレビイベントとなると同時に番組の制作をより困難なものにするだろうと過去11回の五輪中継を担当した伝説のスポーツキャスター、ボブ・コスタス氏は語っています。

視聴者が無観客状態の競技に熱中して盛り上がるは難しく、観客がいるかのような人工的な音の導入などデジタル技術の駆使や臨場感を演出するためスタジアム内のあらゆる音を拾い、監督にもマイクを付ける必要があるだろうと伝えています。五輪が特別だと感じさせる理由の一つであるスタジアムの独特な雰囲気が楽しめない今大会は、中継するテレビ局にとっては大きな試練になると案じています。

一方、同局の医療アナリストのウェン博士は、現在の感染状況や日本のワクチン接種率の低さなどを考えれば無観客は当然との見解を示しています。大勢の人が集まることでスーパー・スプレッダー・イベントになる可能性があっただけに、無観客となったことに「ホッとしている」と述べています。

◆ワシントン・ポスト紙

「コロナの脅威の中で開催される東京五輪は、選手のためではなく、企業収益のため」と伝えるワシントン・ポスト紙
「コロナの脅威の中で開催される東京五輪は、選手のためではなく、企業収益のため」と伝えるワシントン・ポスト紙

現代スポーツ史上最も金欲な五輪は、開催国のコロナワクチン接種率がわずか16%で、国民の83%が延期または中止を望み、天皇陛下さえも新型コロナウイルスの感染拡大につながることを懸念する中でも開催されると報じています。「IOCは欲のために金を獲得し、(独占放映権を持つ)NBCテレビは銀、日本の組織委員会は銅を獲得」と、公衆衛生の危機よりも金欲に走る組織を皮肉っています。その上で、この現状を踏まえるとさらに1年延期して2022年に開催するのが適切であるとの見解も示しています。

◆USAトゥデイ紙

「緊急事態宣言下で五輪開催」と伝えるUSAトゥデイ紙
「緊急事態宣言下で五輪開催」と伝えるUSAトゥデイ紙

「緊急事態宣言でも五輪は続行するようだ」と報じています。海外からの観客に続いて日本国内のファンの観戦も禁じられて無観客となったもののスポンサーや関係者は別枠での入場が可能になりそうだとVIPの特権にも触れています。また、多くの専門家が開催に反対しているにもかかわらず、IOCは収入を絶やさないために開催を望んでいるとも指摘。中止となった場合は、IOCは予定していた放映料を得ることができず、30~40億ドルの損失が発生するためだと伝えています。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」)