新型コロナウイルスの感染拡大から丸2年が過ぎ、コロナ禍のニューノーマルとなっていたマスク着用を巡り今、着用すべきか否か混乱が広がっています。ことの発端は、米疾病対策センター(CDC)が飛行機や鉄道、バス、地下鉄などの公共交通機関と空港や駅などでのマスク着用義務の期限を5月3日まで2週間延長した直後に、フロリダ州の連邦地裁がバイデン政権による公共交通機関でのマスク着用義務化は「違法」だとして無効にする判断を下したこと。これを受け、さっそく米運輸保安局(TSA)が着用義務を解除し、それに続いて主要な米航空会社や全米旅客鉄道アムトラック、配車サービスのウーバーなどが次々とマスク着用の義務を撤廃しました。すでに多くの州や地域で屋内施設でのマスク着用義務が解除されていたこともあり、「やっとマスクから解放された」と喜ぶ人も多く、機内で解除が発表されると拍手と歓声が沸き起こる様子などもSNSに投稿されています。
もともとマスク着用義務化に反対する人が多かったアメリカでは、機内でのマスク着用を巡るトラブルは後を絶たず、今年に入ってからだけでも800件近いトラブルが報告されており、コロナ禍以降マスク着用を拒否して航空会社から出禁になった人は数千人に及ぶといわれています。そのため、「息ができる」と機内での着用解除を歓迎する乗客も多く、あるフライトでは客室乗務員がゴミ袋を手に乗客から不要になったマスクを回収して歩く様子を撮影した動画も拡散されています。一方、オミクロン株の新たな亜種の拡大が懸念される中での決定に困惑を隠せない人もおり、「怖い」「感染しないか不安」といった声も上がっています。アメリカでは現在、50歳以上の人にはワクチンの2回目の追加接種も行われていますが、5歳未満の子供は接種が認められておらず、専門家の間では全ての人が接種可能になるまで公共交通機関でのマスク着用を続けるべきだとの意見も出ています。
ここロサンゼルス(LA)でも19日に公共交通機関でのマスク着用義務が解除され、これによって空港や駅、バスやメトロでの着用は任意となり、事実上すべての場所でマスクなしでの行動が可能となりました。一方でこのところ感染者は微妙ながらも増えており、周囲を見ても今のところバスや地下鉄中ではマスクをしている人の方が多いような印象ですが、スーパーマーケットなどではだんだん未着用の人が増えています。マスク着用の解除について話を聞いてみると、「再び義務化されれば着用するが、しなくてよいなら着用はしない」「ワクチン接種ができない子供がいるので家族で話し合ってリスクが高い場所での着用を続けることにしている」「ルールが何度も替わるので煩わしい。ワクチンをしているから不要だと思う」「自分は基礎疾患があるから感染が怖い」など様々な意見がありますが、CDCに従うべきなのか周囲がしていないから自分もしなくても大丈夫なのか分からないといった混乱もあるようです。
そんな中CDCは20日、「屋内の公共交通機関でのマスク着用義務は引き続き必要」だとし、連邦地裁が違法と判断したことを不服として上訴。これを受け、「自分だけでもマスクを着用すべき?」「機内の換気だけで本当に感染しないの?」などの議論が再熱しています。飛行機内は高性能空気フィルターが装備されており、ウイルスを含む空気中の浮遊微生物の99%を除去できるとされていますが、降機の際に通路に人が密集するような状況下では感染リスクが高まると指摘する専門家もいます。そのため、感染が心配な人はN95やKN95など密着性の高い高性能マスクを着用することが推奨されています。
来週からいよいよゴールデンウィークが始まり、アメリカ旅行を計画している方もいらっしゃると思いますが、公共交通機関のマスク着用は再び義務化される可能性もあるので注意が必要です。また、LAでは現在も独自にマスク着用を求めている店舗などもあるので、入り口のサインなどを確認して入店することをお勧めします。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」)





