テキサス州南部ユバルディの小学校で24日、銃の乱射事件が起き、児童19人と教師2人が死亡しました。夏休みを目前に控えた7歳から10歳の子供たちを無差別に銃殺した容疑者は、地元の高校に通う18歳の少年でした。報道によると、小学校に向かう直前にSNSに犯行を予告する内容の書き込みをしていたことも分かっています。アメリカではコロナ禍で銃撃事件が急増していますが、罪のない多くの子どもが犠牲になったのは2012年12月に米東部コネティカット州ニュータウンのサンディフック小学校で起きた児童20人を含む26人が死亡した事件に次ぐ惨事となります。

事件を伝えるCNNの電子版
事件を伝えるCNNの電子版

CBSによると、容疑者は拳銃のほかに殺傷力の高いAR-15と呼ばれるライフル銃と大容量弾倉を携行しており、小学校で犯行に及ぶ直前に自身の祖母を殺害した容疑も持たれています。容疑者はいじめられた経験があることや、18歳の誕生日を迎えた16日以降に銃を合法的に購入していたことなどが伝えられています。

アメリカでは今年に入ってすでに、4人以上が銃によって殺害される事件が200件を超えていますが、今回の事件は近年のアメリカ銃乱射事件の中でもワースト10に入る惨事になっています。州によって銃規制には温度差がありますが、中でも規制が緩いことで知られるテキサスではワースト10の半数を占めていることも指摘されており、今後銃規制が進むのか注目されます。「先進国でこんなに銃の乱射事件が頻発する国は他にはない」とまでいわれるアメリカですが、再び銃によって多くの幼い命が犠牲になったことにアメリカ全体が大きな衝撃を受けています。アメリカでこれまでに起きた銃乱射事件ワースト10をまとめてみました。

アメリカの学校(小中高)で起きた銃乱射では近年4番目となる(ABCニュースより)
アメリカの学校(小中高)で起きた銃乱射では近年4番目となる(ABCニュースより)

1位 2017年 ネバダ州ラスベガス 死者58人 負傷者867人

カジノホテルが立ち並ぶラスベガスのストリップで行われていた野外音楽コンサートの最中に起きた銃乱射事件は、隣接するホテルの部屋の窓から会場にいた観客を無差別に狙ったもので、世界を震撼させました。警察はホテルの部屋でライフル銃など少なくとも16丁の銃を発見し、ネットには事件の様子を撮影した動画も多く投稿され、銃規制を求める動きが強まりました。

2位 2016年 フロリダ州オーランド 死者49人 負傷者58人

ゲイナイトクラブで起きた銃乱射事件の当日は、「ラテンナイト」が開催されていたため、被害者の多くがラテン系でした。同性愛者を嫌悪する憎悪犯罪説やイスラム過激派組織ISIL(イラクとレバントのイスラム国)に忠誠を誓う発言や犯行声明が出されていたことなどからテロの疑いなども持たれていますが、容疑者はその場で警察官によって射殺されており、真相は分かっていません。

3位 2007年 バージニア工科大学(バージニア州) 死者32人、負傷者23人

教員5名を含む32人が死亡した事件は、アメリカの学校で起きた銃乱射事件としては史上最悪の犠牲者を出しています。容疑者は同大学に在籍していた当時23歳の在米韓国人だったことから、在米韓国人社会のみならずアジア系にも大きな衝撃が走りました。容疑者は精神的に不安定だったことが伝えられており、2時間の時間差で校内の別々の場所で2つの事件を起こし、最後は自ら命を絶っています。

4位 2012年サンディフィック小学校(コネチカット州) 死者27人、負傷者2人

6~7歳の小学生20人と教員6人が犠牲になった痛ましい事件は、小学校で起きた史上最悪の銃乱射事件として10年経った今も人々の記憶に残っています。容疑者は小学校に押し入る直前に、自宅で母親を殺害しており、事件後に自らも自殺しています。

5位 2017年 テキサス州サザーランド・スプリングス 死者26人 負傷者22人

サンアントニオの東にある人口わずか600人の小さな町にある教会で起きた事件は、地元コミュニティーに大きな衝撃を与えました。18歳から72歳まで幅広い年代の人々が犠牲となり、容疑者は事件後に自殺をしています。

6位 1991年 テキサス州キリーン 死者23人 負傷者27人

容疑者は、自ら運転するピックアップトラックでルビーズ・カフェテリアの入り口のガラスドアを突き破り、店内にいた常連客と従業員に向けて発砲。その後、自ら自殺。

7位 2019年年 テキサス州エルパソ 死者23人、負傷者23人

買い物客で賑わう小売り大手ウォルマートで起きた事件の容疑者は、インターネットの匿名投稿サイトに反移民のマニフェストを投稿しており、人種差別に基づく憎悪犯罪だったと伝えられています。容疑者は逮捕されましたが、2歳の幼い子供も犠牲になりました。

8位 1984年 カリフォルニア州サンディエゴ 死者21人 負傷者19人

41歳の容疑者が、マクドナルドの店内で銃を乱射し、生後8カ月の乳児と9歳の少女を含む21人が犠牲に。精神的な問題を抱えていた容疑者は、事件の2週間前に警備員の仕事を解雇されたことが事件の引き金になったとされています。容疑者は、駆け付けたSWATの狙撃手に射殺されました。

9位 2022年 テキサス州ユバルディ 死者21人 負傷者17人

ロブ小学校で起きた乱射は、容疑者が小学校に到着する15分前に犯行予告をネットに投稿しており、国境警備隊に射殺されるまで40分以上校内に留まっていたと伝えられています。

10位 2018年 マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校(フロリダ州)死者17人 負傷者17人

同校を退学処分となった19歳の元生徒が校内に侵入し、火災報知機を作動させて生徒が避難を始めたところでAR-15ライフルを乱射し、生徒と教員合わせて17人を殺害。白人至上主義団体に所属し、軍隊式の訓練を受けていたことなどが伝えられる容疑者は、逃走後に身柄を拘束されました。この事件をきっかけに、同校の一部の生徒たちが銃規制を訴える抗議活動を行って全米の注目を集めています。(ロゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」)

アメリカ歴代ワースト銃撃事件のリスト(インサイダーの記事より)
アメリカ歴代ワースト銃撃事件のリスト(インサイダーの記事より)