新型コロナウイルスの感染拡大の影響で遠ざかっていた海外旅行ですが、各国で入国の規制が撤廃されたことや日本入国時の水際対策が緩和されたこともあり、今夏は3年ぶりの海外旅行を計画しているという方も多いことでしょう。

巷では第7波が猛威を振るっていますが、ここアメリカをはじめ欧州の多くの国ではすでにマスク着用を含めた規制は完全に撤廃されており、コロナ禍以前と同様に観光を楽しむことができます。一方で、アメリカ旅行を計画している人たちにとってコロナ以上に気がかりなのが「インフレ」と「円安」かもしれません。せっかく久しぶりの海外旅行なのだから、観光地を回って、美味しい物を食べて、買い物もして…と豪遊を夢見ているかもしれませんが、ここロサンゼルス(LA)を訪れた人は物価高に驚かされることになりそうです。

ホットドッグ1つが1000円近くするLA
ホットドッグ1つが1000円近くするLA
人気店のプライムビーフのサンドイッチは2500円超え
人気店のプライムビーフのサンドイッチは2500円超え
ファストフードのハンバーガーも、もはや庶民的な値段とは程遠いLA
ファストフードのハンバーガーも、もはや庶民的な値段とは程遠いLA

アメリカの6月の消費者物価指数は、前年6月に比べて9・1%上昇し、1981年11月以来40年半ぶりの歴史的な伸び率となったことはメディアで報じられている通りですが、全米の中でもニューヨークやサンフランシスコと並んで物価が高いことで知られるLAでは、食料品や日用品、ガソリンから家賃まで全てが高騰しています。それに加えて7月中旬には一時139円台を記録するなど急激な円安となっており、ランチの軽食が日本円に換算すると2000円超えも珍しくはありません。では実際、LAを訪れた旅行者が、滞在中にどのくらいの支出が必要になるのか見てみましょう。

★ホテル

三つ星ホテルが1泊125ドルほど、モーテルなら100ドル以下で泊まれていた時代は過去のもので、もちろん時期や部屋のタイプによって値段の変動はあるものの100ドル以下で宿泊できるホテルを見つけることは至難の業になっています。比較的アクセスのよい街中の三つ星クラスのホテルは、平日1泊200ドル~300ドルといったところで、週末や場所によってはモーテルでも150ドル以上することもざらです。仮に1泊150ドルとすると、1ドル=135円換算で2万250円ということになります。

ビバリーヒルズの高級ホテルは1泊1000ドル
ビバリーヒルズの高級ホテルは1泊1000ドル

★レンタカー&ガソリン

広大なLAを効率よく回ろうと思うと、バスやメトロなど公共交通機関よりも車が便利。タクシーやウーバーなど配車サービスもありますが、利便性のよいレンタカーを借りる人も多いでしょう。レンタカーは1日70ドルくらいで、それに税金や保険も加えると100ドルほどになります。そして、全米の中でもガソリン代が高いことで知られるLAでは7月末現在、1ガロン(3・785リットル)あたり平均5・699ドルなので、一般的なセダンを満タンにすると1万円超えとなります。ちなみに、ウーバーの乗車料金も高騰しており、コロナ禍前と比較して倍近くかかることもあり、交通費も馬鹿になりません。

★食事

ニューヨークではラーメン1杯2000円なんてことが言われていますが、ここLAでもラーメン1杯15ドルは普通で、それに税金とチップ(代金の15~20%)を加えると20ドル、すなわち2700円ほどになります。餃子や半チャーハンなども追加すると、日本のちょっとした高級店で食事ができるほどの値段になってしまいます。友人が先日、普通のざるそばが10ドル超えでびっくりしたと言っていましたが(以前は7~8ドルくらいで食べられた)、庶民的な普通のレストランでもパスタ1皿15ドル以上、サンドイッチなど軽食が10ドルほどするため、外食するならランチで最低20ドル、ディナーならアルコール抜きで30ドル以上というのが現地の感覚です。

では手頃なファストフードはどうかというと、マクドナルドでビックマックセットを頼むと11ドルほど、日本円で1485円と、驚くような値段になります。ビックマックを単品で頼んでも740円ほどで、日本より遥かに高いことが分かりますが、チップが不要な分だけまだ安いというのが実態です。では、スーパーマーケットでサンドイッチを購入すれば安いかといえば、こちらもだいたい7ドル、1000円ほどします。フードトラックのハンバーガーやチキンでさえ10ドル超えなので、ちょっとしたおしゃれなレストランでお酒も楽しみたいとなれば、ワイン1杯2000円など、高級店でなくても1人100ドル(135円換算で1万3500円)ほどの予算は必須です。

スーパーで売られているサンドイッチは6・99ドル、サラダは7・99ドル
スーパーで売られているサンドイッチは6・99ドル、サラダは7・99ドル

ディズニーランドの入園料も日本と比較してかなり割高だと言われていますが、テーマパークを家族で訪れたら入園料や園内での食事に飲み物、ちょっとしたお土産などであっという間に10万円が飛んだなんて話も聞きます。食料品や衣料品なども値上がっていますので、お土産代もかさむことが想定されます。外食せずホテルの部屋でテイクアウトと缶ビールで食事を済ませる人も最近は多いみたいですが、日本からの旅行者はコロナ前に比べて少し懐が寂しくなるかもしれません。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」)

1ドルショップ「ダラーツリー」も1ドル25セントに値上げ
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