全世界が新型コロナウイルスのパンデミックと直面してから3年半が経過し、ここアメリカではすっかりコロナ禍以前の日常が戻っていますが、最近になって再び感染が拡大しています。日本でも第9波が警戒されていますが、米疾病予防対策センター(CDC)によるとアメリカでも入院患者、死者数共に増えており、特にテキサスやルイジアナなど南部の州で陽性率が上昇しているといいます。ここロサンゼルスでも最近は、街中でマスクを着用している人を見かける機会が多くなっており、感染に気をつける人が再び増えてきているようです。

コロナ感染者の4人に1人がエリスに感染と伝える米メディアの記事
コロナ感染者の4人に1人がエリスに感染と伝える米メディアの記事

現在アメリカで主流となっているのは、オミクロン株から派生した変異株の一つである「エリス」です。今年4月にアメリカでの感染者が初めて報告されて以降、徐々に増加しており、8月下旬から9月上旬の感染の22%を占めています。世界保健機関(WHO)も感染者が増えているエリスを「注意すべき変異株」に指定し、各国にモニタリングを呼びかけています。

専門家によるとエリスは、高齢者や基礎疾患のある人にとっては重症化が懸念されるものの、現時点において他の変異株と比べて実質的な脅威をもたらす可能性は少ないとしています。感染した場合の症状は、これまでと比べて新しい症状が出たという証拠はなく、一般的なコロナの症状である、発熱、倦怠感、継続的なせき、鼻水、のどの痛みや味覚・嗅覚の変化などが挙げられています。一方で、これから秋冬にかけて「インフルエンザ」、「呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染症」と共に3つのウイルスが同時流行する「トリプルデミック」の懸念も高まっており、再びマスク着用を推奨する声も出始めています。

そんな中、CDCがオミクロン株の「XBB.1.5」に対応する新たな1価ワクチンの接種を推奨すると発表。生後6カ月以上の全ての人を対象に、この秋冬の感染から身を守るためにワクチンを接種するよう呼びかけています。CDCは新たなワクチンは、現在流行しているエリスに対しても効果があるとしており、感染がピークを迎える冬を前に接種が始まっています。

米食品医薬品局(FDA)が緊急使用を許可したファイザーとモデルナのXBB.1.5に対応したワクチンの接種をCDCが推奨したことを受け、ワクチンに関する報道をする米NBCの番組TODAY
米食品医薬品局(FDA)が緊急使用を許可したファイザーとモデルナのXBB.1.5に対応したワクチンの接種をCDCが推奨したことを受け、ワクチンに関する報道をする米NBCの番組TODAY

気になる副反応ですが、個人差はあるものの一般的には注射部位の痛みや腫れ、倦怠感、筋肉痛、頭痛、悪寒、微熱などがあるとされています。すでに接種済みの人は、過去の接種時と同様か場合によってはそれよりも軽いことが予想されています。

そして感染を予防するには、定期的な手洗いや手指消毒、呼吸器疾患のある人はソーシャルディスタンスを保つことが重要で、検査や症状がある場合は人との接触を避けることなどが推奨されています。

(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」)