物価上昇は日本でもニュースになっていますが、アメリカでも大きな社会問題の1つになっています。特にここロサンゼルス(LA)やニューヨークのような大都市では、以前から家賃をはじめとする生活費の高騰がすさまじく、コロナ禍でリモートワークになったことで生活費の高い都市部を離れる人が続出したことも話題になりました。物価高騰に加え、昨今の円安の影響で、日本からの留学生や駐在員にとってアメリカの生活は大変厳しい状況になっています。
アメリカでは物価が上がっていますが、同時に賃金も上がっています。先日、カリフォルニア州のニューサム知事が、ファストフード店の従業員の最低賃金を来年4月から時給20ドルにする法律に署名しました。現在の為替レート1ドル150円で換算すると、なんと日本円で時給3000円になります。ちなみに、LAのビックマックセットの値段は約10ドル、1500円ほどです。
現在カリフォルニア州のファストフード店の平均時給は16・60ドルということなので、大幅な賃上げとなります。カリフォルニアにはファストフード店は約3万店ほどあり、55万人以上が働いていると伝えられています。従業員の多くはいわゆるアルバイトではなく、会計を支える大黒柱が大半だと言われており、その点も日本と状況が違うところです。
カリフォルニア州の最低賃金は現在、全米の中でも最高水準の15・50ドル、日本円にすると2325円になります。物価でいうと、15~16ドルというのは例えばLAでは一般的なラーメン1杯の値段です。サンドイッチを買っても同じくらいしますし、バーでワイン1杯が15ドルというのも珍しいことではありません。実際にはそこに税金やチップが加算されて支払い時には20ドル程度になるため、決して最低賃金が高いわけではありません。さらに、カリフォルニア、特にLAは他州に比べてガソリン価格も高いので通勤にかかる費用も軽視できません。
日本では「アメリカは物価が高いが、その分給料も高い」という声を耳にしますが、例え時給3000円を稼いでも日本で暮らすほど生活が豊かになるわけではありません。スーパーで20ドルで買い物をしようと思うと牛乳ハーフガロン(約1・9リットル)と卵1ケース、それにヨーグルト、バナナ数本くらいしか買えない、朝食をちょっとしたカフェで食べるとゆうに20ドルを超えるという例が分かりやすいと思いますが、アメリカでもインフレと賃金のバランスが取れているかというと決してそうではありません。LAでは単身で年収7万ドルでも低所得者に定義されることが少し前にニュースになっていましたが、現在の為替レートでは1000万を稼いでも低所得者ということになります。
そんな中、街を歩けば、あちらこちらでストライキをしています。8月にはLAの市職員が24時間のストライキを行いましたが、現在も全米映画俳優組合、ホテル業界、自動車産業、加えて4日からは看護師ら医療従事者も物価が高騰する中で賃上げを求めてスト入りしています。ストの急激な拡大による経済への影響も懸念されています。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」)



