静岡県の三島に向かう。東京から新幹線で1時間弱。雄大な富士あり、清流あり、文学の香りも似合う街。ちょっとおしゃれな店もあって、街のブランド感も漂う。「野菜が自慢」と聞いたので、その野菜を味わいながらの1泊2日、楽しい旅になった。
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◆三嶋大社で必見、三つのポイント
東京駅発・11時27分の「こだま」に乗った。12時17分着。あっという間に三島である。
「三嶋大社」のある三島は今、NHKの大河ドラ「鎌倉殿の13人」の影響で注目を集める観光スポット。
伊豆に流された源頼朝が源氏再興を祈願した伊豆国一ノ宮がこの三嶋大社だ。
三嶋大社に向かうタクシーで(歩いても15分ほどなのだが)運転手さんが「境内に入ったら、必ず3つは見逃さないように」と教えてくれた。
で、その3つとは、頼朝と北条政子が座って休んだという(1)「腰掛け石」、宝物殿にある国宝の(2)「梅蒔絵手箱」(ただし、展示はレプリカ)、あとは天然記念物の大きな(3)金木犀。
見た、見た、見た。そしてお参りもきちんとすませました。
特に印象的だったのが、北条政子が実際に使ったという蒔絵手箱だ。いわゆるお化粧箱の一種だろうか。ドラマで政子を演じる小池栄子を見ているので、彼女が鎌倉時代から抜け出して、ここに置いたかのような不思議な感じがしたのである。
大社を出て市内を散策。気付いたのが、多くのみしまコロッケののぼり旗。その一軒「山本食品・門前せせらぎ店」をのぞいてみる。
1個・150円。
「みしまコロッケとうたうには三島馬鈴薯(メークイン)を使うというのが唯一ルールです。おいしいでしょ?」とお店のお姉さん。外はサクサク、中はしっとり。ウ~ン、確かにおいしい。もう一つとも思ったが、もうすぐ夕食である。
夕食は家庭的な中華料理店で地元でも評判が高い「麒麟」さんへ。
特においしかった一品が「あんかけのおこげ」。おこげに野菜がタップリ乗った一品だったのだが、この野菜が旨い。実は「箱根西麓三島野菜」として「三島市が特に頑張って、売り出しているもの」(観光協会)だそうだ。
地元の農家さんが「箱根西麓は土壌が良く、おいしい野菜が出来る」とPRを始めて全国的に有名になってきた。
食べた感想。シャキシャキとした男前! という感じ。実に新鮮なのである。「箱根西麓三島野菜」。何だか八文字熟語みたいだが覚えておきます…。
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◆朝の散策では文学を満喫
さて、次の日は…。
なんと朝6時半ホテルのロビーに集合がかかった。「朝の三島を散策」するという誘いである。
まずは、人影もまばらな三島大社を参拝。朝の境内は気持ちがいい。そして、湧水の流れる桜川沿いを歩く。ここ、400メートルほどの川沿いに、12もの文学碑が建っているのである。
詩人の大岡信から始まって最後は井上靖。大岡信は三島に生まれ文化勲章まで受賞した人である。
井上靖も三島大社の前に下宿して中学に通っていたとか。ほかに、太宰治、司馬遼太郎、正岡子規、若山牧水…、それぞれに作品の一節が刻まれている。それを読みながら進めばアッと言う間に小1時間だ。楽しいひとときだった。
それにしても街中を二つの綺麗な川、源兵衛川と桜木川が流れ、夏にはホタルが美しいという。
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◆スカイウォークで富士山一望
この日の午後は箱根方面へ車で20分ほど。今、三島で最も注目度の高い? 吊り橋「三島スカイウォーク」に向かう。
ここでもキーワードは3つ。「3つの日本一を必ず見てくださいね」と広報担当者に言われた。
「日本一の長さ・400メートルを誇る歩行者専用吊り橋。日本一深い駿河湾、そして最後は日本一高い山・富士山です」
足がすくむほどの高さ、70メートルに架かる橋。上空を見れば真っ青な空。そして向こうには大きくそびえる富士が見事だった。これからの季節、さらに気分も盛り上がるはず。
最後にホテルの話--。今回、一泊したホテルで大変お世話になったことがある。部屋でパソコンの調子が悪くなり通信が、どうもうまくいかない。この時、助けてくれたのがホテルマンのお兄さん。冷や汗が、感謝の汗に。こんな親切が、年寄りの客には沁みる。観光とは別に、いい印象で帰れる思い出となった。「富士山三島東急ホテル」。最上階・14階の展望温浴風呂も最高! どうもお世話さまでした。