新春第2弾! “アニキ”こと俳優哀川翔(56)が西伊豆のヤリイカに続いて、狙ったのは東伊豆・熱海「喜久丸」のイナダ&アマダイ。「白」のヤリに対して「紅」のアマダイ、そして大きくなるごとに名前を変える出世魚のイナダと、縁起モノでまとめてみた。さて、2018年を占う釣行でアニキは結果を残せたのか?

 2018年釣り初日は1月3日。熱海伊豆山港「喜久丸」から始めた。この船には思い入れがある。

 もう10年以上前になるが、バラエティー番組の企画で芸能人の釣り対決をすることになって、喜久丸を指定された。すぐ隣には、熱海温泉の源泉ともいえる「走り湯」が湧き出て、港も“秘密基地”っぽい雰囲気に満ちている。気に入ったよ。

 番組収録後もプライベートで利用して、ある日、喜久丸が日刊スポーツから指定を受けている、って聞いて、そういや、テレビで釣りをしたことがあるけど、新聞はないなぁ…と。スポーツ紙に限らず、新聞をメチャクチャ読むし、大好きだから、釣りで記事になるのであれば、うれしいと思ったんだよね。それで、喜久丸の(松本)早人(はやひと)船長にお願いして、日刊スポーツで釣りのコーナーを持つことになったんだ。

 1年の最初を熱海でスタートする。ここが第1歩だから。さあ、お神酒を海にささげて釣りするぞ!

 今回は、脂乗りのいいイナダと、赤い魚体のとぼけた顔をしたアマダイ。この2種を狙う。年末に久料「魚磯丸」で「白」のヤリイカをゲットしていたので、めでたい「紅」と「出世魚」で決めたいという思いを込めた。

 イナダをバカにしちゃいけない。今、各所でイナダが大爆釣だ。これがウマいんだ。関東地区の呼び名では、ワカシから始まって、イナダ→ワラサ→ブリと大きくなるに従って、その名前を変えていく。だから、1~2キロぐらいのイナダを軽く見る釣り人もいるけどさ、ちゃんと味わってほしい。ワラサにならずに歩留まりするイナダだ。体長はそのままで胴回りがゴロン。大きさもさばきやすいし、刺し身にしたら、そして、しゃぶしゃぶにしたら気絶しちゃうかもしれないぞ。

 さあ、そのイナダから捕獲しようか!

 今回、同乗したのは、磯釣りが大好きな舞台俳優橋本じゅん。今、オレが主演するミュージカル「HEADS UP!/ヘッズ・アップ!」で共演している。2015年に横浜で上演して約1万人を動員した、オレにとっては初めてのミュージカル。あらすじは、名作と評されるミュージカルがあって、1000回目の公演で終わるはずだった。ところが主演のベテラン俳優が、ある地方都市で1001回目をやると言い出した。てんやわんやで舞台をつくるんだが、オレは新人の舞台監督、橋本は大道具を担当する演出部の親分。舞台の舞台裏で息づく人間模様だな。この設定だけで面白いだろ。

 橋本は船にちょっと弱いので、磯を選んでやっているんだが、昨年は1度も釣りに行けなかったって。じゃあ、というので連れてきた。どうだ、海もいいだろう?

 いろんな話をして、肝心の釣りがお留守になっちまったなぁ。イナダはスゴいよ。船長の指定するタナ(魚の泳層)に合わせた瞬間にドスン。最初は2本バリでやっていたんだが、2本ともにヒット。ちょうど橋本もキャッチしたから、いいタイミングで写真も残せた。イナダの一荷も面白いな。オレは11匹でトップ。8人で44匹なら上出来だろう。

 問題のアマダイだ。最初は釣れなかった。アタリもよく分からなかったし。何人かはポツリポツリと釣っていたけど、オレのサオは何にも反応なし。早人船長から「じゃ、これで最後になりますから」とのコールがあって、サオ先がギュン! 来た、アマダイだ。

 基本は、底からハリスよりもちょっと長めに浮かす。ハリス全長が2・2メートルだったので、3メートル底から巻き上げた。1度着底させて、浮かし直した直後に来た。そんなに大きくはないが、確かにアマダイだった。下バリにはトラギス、上バリに食ってきた。

 結局、この土壇場から3連発ヒットで、アマダイもサオ頭になった。船中でも14匹。いやぁ~、めでたい。翌日の日刊スポーツの速報欄に「俳優哀川翔」と掲載された。釣り師の勲章だな。2018年も釣りで暴れるか!

 ▼船 熱海「喜久丸」【電話】090・5456・8449。今回は「イナダ→アマダイ」特別船(午前7時集合)だったが、午前便は午前6時集合、正午帰着で氷、エサ付きで1万1000円。狙う魚種はそのほかカワハギ、マダイ五目、アジ五目、ヒラメ、2月になればチカメキントキなど豊富にあるので、電話で要応談。

 ▼ミュージカル「HEADS UP!/ヘッズ・アップ!」公演予定 20日(土)富山市「オーバード・ホール」、26日(金)、27日(土)長野・上田市「サントミューゼ」、2月2日(金)~4日(日)大阪市天王寺区「大阪新歌舞伎座」、同15日(木)、16日(金)愛知・刈谷市「総合文化センター・アイリス」、3月2日(金)~12日(月)東京・赤坂「TBS赤坂ACTシアター」

 ◆橋本じゅんのひと言 舞台の演技は、役に無理やり自分を合わせていく作業から始まる。でも、翔さんは自然体でできている。スゴい。極端な話ですが、役が翔さんに寄っていくイメージ。釣りもこれだけ堪能できた。これで舞台に専念できます。