いよいよ梅雨。長いのか、それとも雨は少ないのか、釣り人は天候でそわそわしてしまうが、雨が降るたびにおいしく脂をまとっていくのが、イサキ。伊東「妙法丸」を本部にして熱海「喜久丸」との合同によるイサキ大会が3日に開催され、14人が参加した。優勝は4年連続出場の平和男さん(63=東京都八王子市)が3匹総重量で1502グラムを記録して、初優勝を飾った。

 きれいな朝焼けだった。伊東を本部としたイサキ釣り大会が、3日に実施された。熱海との合同大会。当初の5月20日がシケで出られず、仕切り直しは14人の大会となった。

 東伊豆なので、太陽が海に没するのは確認できないが、雲がなければオレンジ色の朝日を見ることができる。この日は最高の夜明けだった。そして、参加した14人全員が審査基準の3匹以上のイサキを釣って、戻ってきた。釣り上げた魚はどれもでっぷりとして、素晴らしい釣果が残った。

 優勝した平さんは子どものころから、管理釣り場のマスや、防波堤でのイワシ&アジ釣りなどを家族と楽しんでいた。40代になって、会社の同僚に誘われて船釣りの楽しさを知り、抜けられなくなって20年ほど。

 この大会は4年連続出場で2015年が15位、16年は8位と健闘し、昨年は参加51人中30位台に沈んでしまった。今年は、別の船で2回練習釣行をした。結果、ボウズ。5月中~下旬は潮の動きが緩く、イサキの反応が悪くて、たまに釣れても20センチ前後。サイズも伸びない時期ではあった。

 平さんは考え込んでしまったが、たまたまテレビの釣り番組で「イサキを釣るには指示ダナよりハリス分を足した位置でカゴを振って、エサ取りの小魚を引き付けておく。それで、ゆっくりリールを巻けば、イサキしか食ってこない」との解説を見て、「これだ、と思って、実践したら釣った23匹は良型ばかり。念願の優勝、うれしいし、刺し身やナメロウで食べたら絶品でした」と笑った。

 準優勝の青木健(たけし)さん(46=神奈川県藤沢市)は、22歳のときに防波堤から船釣りに転向。下田でのイサキ釣りがデビュー戦だった。妙法丸には20年の常連だ。イサキだけではなく、今回は4・99キロのマダイも釣った。ハリスはイサキ仕掛けの2・5号6メートルだった。「東京湾久里浜沖のマダイで1・5号まで経験している。やりとりは大変だったけど、ハリ掛かりはガッチリだったので、大丈夫でした」と笑顔。「それよりも最後の1投で一番重いイサキが釣れたから、滑り込みの準優勝です。うれしいですね」と話した。

 3位に食い込んだ清水剛朗(たけろう)さん(38=埼玉県川口市)は、参加者中最も少ない8匹。「でも、大型狙いだったからいいんです」と胸を張った。コマセを入れなかった。コマセがないのでサオもシャクらなかった。6メートルのハリスが自分のカゴに絡むトラブルはゼロだった。また、付けエサのオキアミも、海中に漂わせるままにさせておいたのも功を奏した。「デカいメジナも2匹釣れた。タナも船長の指示ダナよりもちょっとだけ高めに動かしたりして、魚を上に向かせる作戦もよかったみたい」とかなりの技巧派だ。

 平さんは、明日9日に喜久丸でイサキ釣りに興じる予定だ。「でっぷりイサキの話を会社でしたら、同僚が行きたい、と。みんなに楽しんでもらいたいですね」と、優勝者として早くも凱旋(がいせん)釣行。天気が心配だが、釣れますように。【寺沢卓】