静岡・駿河湾の金洲で、お父さんの血がたぎる秋の陣が始まった。御前崎「博栄丸」では、釣ったムロアジを生きたままエサにして、大型カンパチやブリを狙っている。6日、14人の定員でいっぱいの博栄丸に乗り込んでその様子をリポートした。

金洲に到着して博栄丸の大澤洋輔船長が「ここ5年、ムロアジの回遊が多くなって、また大物が釣れる」と話した。特に、今年5~8月、2~3キロの食べごろを中心に5キロ台のカツオが釣れまくった。そして、カンパチ、ブリをムロアジの泳がせで釣り上げる秋につながってきた。

6日は、サビキ仕掛けで釣ったムロアジを泳がせて、大型カンパチを狙った。港から1時間ほど走って、水深約50メートルでサオを出した。海面から20メートル前後でアタリが出て、サビキ仕掛けに40~50センチの大きなムロアジが次々にコイノボリのように掛かる。座席下の循環式のイケスに生かしておく。夏が旬のイサキ、色の鮮やかなウメイロ、さらにシマアジもでっぷり。市場などでは出回らない高級魚ばかり。本命ではなくとも金洲の引き出しは豊富だ。

佐藤滋留さん(52=日野市)は、キハダマグロを狙って6年目。一方で、今年は初めて金洲の泳がせ釣りに挑んだが、まだ釣果がなかった。この日、泳がせ釣りの第1投、ギュン、サオ先が曲がって、佐藤さんは慌てて合わせて、すっぽ抜けた。めげずに第2投、すぐにアタリが出て、今度は待った。サオ全体が海面に突っ込んで丁寧に巻き取ると6キロのワラサが釣れた。「こんな大きなムロに食ってくる。うれしい」と表情を崩し、同寸のワラサをもう1匹追釣した。

20年泳がせ釣りを続けるベテラン小川峰信(たかのぶ)さん(48=豊橋市)は終盤に6~7キロのワラサを2匹釣り上げ「ムロにこだわるのではなく、そのときのおいしそうな魚をつけるといい」とヒントをくれた。隣の釣り座の佐野哲之(のりゆき)さん(46=富士宮市)が反応した。エサに30センチのイサキを選んだ。するとサオが弓なりになり、17キロのカンパチが釣れた。「泳がせをはじめて4年です。一昨年、6キロを釣ったけど、これで胸を張ってカンパチを釣ったといえる」とニッコリ。秋の金洲はカンパチで決まりだ。【寺沢卓】

▼船 御前崎「博栄丸」【電話】0548・63・3337。御前崎港に停泊している海上保安庁船の後方に午前4時集合。金洲での釣りは同6時開始、午後1時まで。氷付き1万3000円、コマセは1枚1000円。