東京湾を直撃した台風15号は、千葉・房総半島に大きな爪痕を残した。住宅地にこれほど多くのブルーシートが視界に飛び込んでくることも初めてではないだろうか。「自粛」という合言葉で、観光が1歩も進まない状態だが、本来の房総半島は「遊びの天才」だ。11月2~3日には、内房のどこかで砂浜からの投げ釣りイベント「ちょい投げ房総族」を実施する。19~20日、釣り以外の楽しいことも含めて訪ねてみた。

予定通り「ちょい投げ房総族」は、11月2~3日に実施します。

房総半島の砂浜で、誰でもできちゃう投げ釣りを楽しむのが「ちょい投げ房総族」です。9月8日、大きな風雨をもたらした台風15号の傷痕が、房総半島各地にはまだまだ深く残っています。

でも、房総半島の主要産業は観光。本来、笑いにあふれて楽しいエリアなのだ。「落ち込んでばかりもいられない。私たちが前を向いて、楽しいこともできる房総半島を打ち出していかないといけない」と、久里浜と金谷を結ぶ東京湾フェリーで広報を担当する寺元敏光取締役は、にこやかに話す。

東京湾フェリーの金谷営業所も大きな被害を受けた。「何がこうした、という事例を出したらきりがない。何をこれからやるかを話題にしていきたい」(寺元さん)。そのきっかけに今月19~20日、寺元さんが音頭をとって、ブロガーを中心に「房総観光の現状」を取材するツアーを組んだ。

そのツアーの中に館山市北条海岸でのちょい投げを入れたのだ。4人の女性ライターが人生初の海釣りを体験した。西村愛さんは、島根県出身で房総半島に何度も足を運んでいるが「投げ釣りはやったことがない」とキャーキャーと笑いながら、サオを振ると早くもプルルン。「大変です。何かいるかも」とリールを巻き上げるとかわいいクサフグ。

西村さん 何ですか、これ。キャー、丸くなる、かわいー。

その西村さんの絶叫につられたのか中国人の熊孟華さんもクサフグをゲット。

熊さん 中国では海釣りはほとんどやらないです。第1投で釣れた。千葉の海、すごい。

海岸にはいろいろなものが打ち上がっていたが、砂浜自体は自由に入って投げ釣りはできる。ギャル系情報が得意な藪田朋子さんと、ピースボートで世界一周旅行から帰ってきたばかりの池田美樹さんは、魚は釣れなかったけど大喜び。

藪田さん 仕掛けを投げるとそれだけでストレス発散にはなりますね。

池田さん なんでしょうね。投げ釣り、って無心になれる。これは癒やしかも。

「ちょい投げ房総族」の詳細はまだ決まっていない。台風15号の被害状況も含めて、開催地の選択はじっくり考えてみたい。

今回のツアーで、ちょい投げをテストしてみて、やや底荒れはしているようだが、波打ち際には天然のアサリが砂に潜っていく様子が数多く見られた。過去3年「ちょい投げ房総族」を実施してきた中で、波打ち際でアサリが顔を出すと釣れるという“吉兆”が確認されている。

房総半島の本格復興はこれから。砂浜からの投げ釣りが微力ながら、その一助になれるかもしれない。また、砂浜の取材に房総に渡ります。詳細は今後、お伝えしましょう。ちょい投げ房総族、動きます。【寺沢卓】