アオリイカのティップランの季節になってきた。ドテラ流しという船を真横のまま移動していく。釣り人は片方の舷に集まって、底をはわせるようにエギをコントロールしていく。内房・富浦「共栄丸」では、まだ1キロ超はないけれど、数は出ている。食べてもおいしいアオリイカ。南房総にいこうか!

   ◇   ◇

「アオリイカ」という食べたら、とってもおいしいイカが、今、旬なのです。

釣りたいでしょ?

千葉・房総半島の南側にある富浦港。そこの「共栄丸」、もしくは勝山港「宝生(ほうせい)丸」を訪ねてください。きっと釣らせてくれますよ。

釣り方はティップランといいます。「あっ、なんかもう難しそう」。そんなことはありません。意外と簡単。エサが苦手な人でも大丈夫です。エギという魚やエビをモデルにした和製ルアーしか使いません。

そのエギを底まで落として、底付近をサオ先(ティップ)で走らせる(ラン)ようにして操作するだけなんです。ほら、なんか釣れそうな感じがしてきたでしょ?

そうそう、イカとかタコみたいにエラはないけど、足がある生き物の場合、誘う釣り道具に抱きつく習性があるので「釣る」じゃなくて「乗る」っていうんです。だから、魚がいっぱい釣れると「爆釣(ばくちょう)」とか言いますが、イカなどは「爆乗り」って表現するんです。

さて、アオリイカで使う道具、エギ。カラフルで女の子ならきっと「カワイイ」って言ってくれるはずです、多分。今の時期なら釣具店に必ず「ティップラン用のエギ」がありますから、店員さんに聞いてみてくださいね。

どうせならサオとリールもそろえてみましょう。リールはスピニングタイプで、PE素材の道糸0・6~0・8号を巻いておきましょう。リーダーは2号がいいですね。道糸とリーダーは、店員さんに巻いてもらって、結ぶのもお願いできるケースもありますよ。

そしてサオ。アオリイカ専用もありますが、ちょっと軟らかめのサオがいいですね。タコボウズ記者は3000円台で具合のいいものを見つけちゃいました。値段の高いサオだからいいということはありません。自分のしっくりくるサオを見つけるのも楽しいですよ。

さて、実際の釣りです。

今回は富浦「共栄丸」にお世話になりました。台風21号前の22日でしたが、アオリイカはいましたね。この日は、日本テレビ系の人気番組「ザ!鉄腕!DASH!!」に出演する海洋環境研究家の木村尚さん(62)もサオをシャクってくれました。

ティップランは、左右どちらかの舷に釣り人を集めて、ドテラ流しをします。

ドテラ流し?

船はまっすぐ進むのではなく、釣り人が集まっている舷から後ずさりをするように横に動いていく。つまり、乗船した全員にチャンスが均等にやってくる、という釣りになります。

あとは、エギを投じたところにアオリイカがいると抱きついて“爆乗り”ってことになる。

この日の最多はなんと12匹。150~800グラム。大小サイズは交じってますが、まずまず順調な釣果です。木村さんは6匹、いい感じですね。

釣り方は簡単。エギをポチャン、と落とす。船は後退しているので、自分から真っすぐ前に道糸は伸びていきます。エギが底につくとコツンという感触と、道糸がそれ以上でなくなるので分かります。この「着底感」を察知できるように神経を研ぎ澄ましてくださいね。ここ、重要です。

着底したらしばらく漂わせて。サオを45度ぐらいアオリながら(これをシャクるという)リールを巻く。7回ぐらいシャクったら動きを止める。5秒ぐらい。で、また7回ぐらいシャクる。このエギがジーとしている5秒でアオリイカが抱きついて来る。

木村さん アオリイカに抱きつくスキを見せるといい。私は紫色のエギが良かった。その日のヒットカラーもあるから、いろんな色のエギがあるといいですね。

さあ、アオリイカを釣って食べてみませんか? 刺し身もおいしいけど、さっとお湯にくぐらせて、半生状態にしてポン酢で食べると…最高です。【寺沢卓】

▼船 富浦「共栄丸」【電話】090・7244・0460。アオリイカは午後便のみで7500円。勝山「宝生丸」【電話】0470・55・2777。午前便が1万円、午後便は7000円。出船時間はともに要確認。