ルアーで狙う東京湾のシーバスのシーズンがやってきた。千葉寒川「小峯丸」(小峯雄大船長=36)では、千葉港周りが主なポイント。30~40センチのセイゴ・フッコ級が主体だが、活性が上がれば一気に数が伸びる。中には、70センチ近いスズキもヒットする。初心者でも簡単に楽しめ、初笑いには最適だ。

チャンスタイムは突然やってきた。シーバスがルアーを積極的に追ってくる。終了1時間前、にわかに活気づいた。左右どちらか片方に並ぶ小峯丸の場合、右舷に9人が並んだ。メタルジグを落とし、水深10~15メートルの底付近を探る。次々とロッドの穂先が絞り込まれ、船内に取り込まれた。

ようやくシーバスの開幕だ。昨年秋から冬にかけて東京湾はタチウオ、サワラが活況で、陰に隠れていた。暖冬も影響し、1カ月から1カ月半ほど遅れ気味ではあったが、ここに来て姿を見せ始めた。

潮の流れや濁り、海水温、風や天候などで釣果にまだムラはある。1日の中でも「釣れる」「釣れない」がハッキリする時間帯がある。この日も、前半は10~20分ほど口を使ってポツリポツリと上がるシーンが3~4回あった。タイミングと釣り方が合うかだ。

ミヨシ(前)から2人目の井手浩二さん(42=袖ケ浦市)は最大となる68センチをヒットさせた。「21グラムのスピンテールを投げ、着水したら6まで数えてタダ巻きした」と話す。主にシンキングペンシルやバイブレーションを使って13匹を確保した坂本順一さん(60=千葉市)は、「宙層まで沈め、手首を返すトゥイッチングで誘いをかけながら掛けた」と振り返った。2人ともピンポイントでシーバスの遊泳層にルアーを入れて横に巻いていた。ヒットの範囲が狭くても、確実に掛けた。

一方、トモ(後ろ)から2人目でシーバス初挑戦の辻村良三さん(49=鎌ケ谷市)は、30~60グラムのメタルジグだけで10匹を記録した。「ほかのルアーを持っておらず、底までジグを落とし、5回ほど巻いてまた落とす誘いを繰り返した」という。実はこれ、縦のルアー釣りである「ジギング」の基本パターンだ。

小峯船長は、「現在は入門編とも言うべき数釣り。潮が澄んだらナチュラルカラー、濁れば目立つ色というセオリーでルアーを選ぶより、居場所にルアーを入れたら、どう動かして誘うかを意識すれば、ヒットします」とアドバイスした。

東京湾には多摩川を筆頭に、多くの川が流れ込む。千葉県側は君津市あたりまで、神奈川県側は横須賀市まで、海に面した工業地帯や港がある。エサの小魚が集まる河口、港の橋脚、工場の排水口周りなど、ポイントも多い。「節分にかけて冬本番を迎えれば、シーバスは同じ湾内でも深場に落ち、型も大きくなる。そうなれば、80~100グラムと重めのメタルジグで80センチ、3キロ超級も狙えます」(小峯船長)。これから熱くなる時期になる。

▼船宿 千葉寒川「小峯丸」【電話】043・222・6557。http://kominemaru.com/。シーバス1日船・午前船は6時集合、6時30分出船。午後船は0時30分集合、1時出船。1日船は大人8500円、女性・中学生6500円(午前・午後船は大人7500円、女性・中学生5500円)。船宿と港の場所が離れており、車の場合、港の住所=千葉市中央区寒川2の203の3=へ直接集合。電車の場合、本千葉駅から送迎サービス(応相談)あり。

川崎「つり幸」【電話】044・266・3189でも出船中。https://www.tsurikou.com/