どこの海域でも2年連続で春マダイがすんごい釣れている。駿河湾もおなかの膨らんだプリプリの赤い魚体のアタリが連発、連発、れんぱ~つ! 沼津・久料「魚磯丸」(久保田清船長)も例外ではない。コマセマダイの基本と魅力を同時にお伝えし、いまさら聞けないマダイ釣りのあれこれもこっそり教えちゃいますよ。

この取材は3月31日でした。まだ、緊急事態宣言が発令される前。正直なところ、久料「魚磯丸」のマダイは前日の30日までパッとしていませんでした。魚探(魚群探知機)画面はマダイが群雄していることを証明するように真っ赤に染まり続けていた。

マダイはいる。

当時、魚磯丸の久保田清社長(75)は「おかしいんだよ。この時期になりゃ、ノッコミも絡んできてバンバン釣れるだけどねぇ。やや食いが浅くて渋いんだ。もう、釣れてもいいだけどね」と首をひねっていた。

午前便担当は操船3年目の松崎英信船長(52)だった。タコボウズ記者(寺沢です)を含めてサオを出したのは3人。山本啓さん(41=調布市)はコマセマダイ釣りは3年目で、このときで魚磯丸には今年5度目の乗船だった。

山本さん 3度連続ボウズ(釣果なし)。4回目で手のひらサイズがようやく釣れた。まるで釣れる気がしない。不安でいっぱいです。

仕掛け投入早々、松崎船長が「魚探でみるとマダイだらけだね」と船内マイクで声を弾ませた。さて、口を使ってくれるか?

山本さんのサオがギュンと曲がった。「松崎船長から置きザオが当たると聞いたので、指示ダナの(海面から)73メートルで動かさなかった」と山本さん。1キロ前後のおいしいサイズをゲットした。

ここで常連さんからアドバイスが入った。

常連さん リールのドラグをゆるゆるにして、手巻きでゆっくり巻く。マダイが泳ぐときは道糸が出ても放っておく。動きが止まったら巻く。道糸が緩まなければハリは外れない。

ヒットしたら、サオをしゃくりあげて合わせてから道糸を巻く→魚が走って道糸が出ていく→止まったらリールを巻く→魚が走る…この繰り返しだ。

そして、もう1つ。

常連さん なるべくサオは寝かさずに立てるといいよ。サオのしなりでマダイを逃がさないから。

「知らなかった。マダイとやりとりができた。いいことを聞きました」と山本さんは大喜びだった。

この日はマダイがコマセに反応して浮いてきた。積極的にハリに刺したオキアミを狙うようになってきていた。以後、4月に入ってから、この状態が続き、典型的な春のノッコミ(産卵行動期)の釣りになっているのだ。

その後、常連さんは6匹、タコボウズは2匹、山本さんは3・8キロの大物を含めて5匹と大健闘した。「いやぁ~、こんなに釣れたのは初めて。マダイにハマっているけど、さらにハマりそうです」と山本さんはニコニコ顔だった。

下船した山本さん、開催中の駿河湾マダイダービーに参加して「この感触は忘れないようにしないと」とかみしめるようにポツリ。好調な久料の春マダイ、まだまだ終わりそうにない。【寺沢卓】

▼久料「魚磯丸」 【電話】055・942・3230。午前便の集合は午前4時45分、仕掛け投入同5時30分、納竿同10時30分。午後便は午後1時30分投入で同6時30分に終了。午前&午後便ともにエサ、コマセ、氷付き1万円、午前→午後に連続して乗船する通し便は1万9000円。駿河湾マダイダービーは、魚磯丸のほか御前崎「博栄丸」、戸田「たか丸」、そして現在臨時休船中の安良里「ふじなみ丸」でマダイ3匹重量合計で5月24日まで開催。期間中なら何度でも参加OKで、1匹からの入れ替え可能です。釣りの際もマスクをつけてお願いします。