釣り速報で「LT」と書いてあるのはなんだろう? これは「ライトタックル」の略称です。手に持つサオを含めた道具が軽くて操作しやすいことから、こう呼ばれています。新型コロナウイルスでの緊急事態宣言もあって、今年の夏休みはちょっと短めですよね。そこで、初めての釣りをやるなら、アジ釣りはどうですか? 千葉・内房の金谷「光進丸」の黄金アジに行ってみよう。さて、黄金アジ、ってなんだろう?

日刊スポーツ紙面の釣果速報欄「船」の金谷を見ていただきたい。アジの釣果を伝える宿はあっても、ここだけは「黄金アジ」と書いてある。

金谷「光進丸」は若い船長が3人在籍していて、その若手をまとめるのが社長の岡澤裕治親方だ。裕治親方に「黄金アジ」の由来について聞いた。

裕治親方 釣れるアジがキンキラキンのピカピカなんでございます。この金谷の海の地形に特徴があって、いきなり海溝に続くドン深になっている。浅場から深みに落ちていく際に潮が当たる。それと鋸(のこぎり)山から金谷川が流れて山の栄養分も金谷港に注がれる。おいしいプランクトンがわいて、それを捕食するアジがキンピカになる。金谷の「金」とも重なって、黄金アジ。東京湾で黄金アジを名乗れるのは金谷のアジだけなんでございます。

よどみない裕治親方の言葉に、黄金アジへの誇りと自信もあふれ出てくる。

光進丸では黄金アジをLTで狙う。道具の軽い「ライトタックル」の略称だ。コマセ(イワシのミンチ)をまいて黄金アジを寄せる。そのコマセを入れるカゴが軽い。かつては130~150号(487・5~562・5グラム)の重さを使っていたが、今は40号(150グラム)と軽いタイプで、非力な女性でも軽々と黄金アジを釣ることができてしまう。

ただ、ほんのちょっと前まで、黄金アジが深場に潜ってしまい、60号(225グラム)のやや重いものを使うしかなかった。そのときに釣れたアジが35~40センチと大型ばかり。通常で20~25センチなので、かなりの大きさといえる。そして、つい最近だが、浅場に黄金アジが戻ってきた。なんと、その浅場で、深場でよく釣れた大型が姿をみせてきたのだ。

水深25~30メートルの浅場で釣れる大きな黄金アジ、いったいどんな引き味なんだろうか?

アジはタナを釣れ。船釣りの格言でもある。アジはコマセで寄せる。アジの回遊する層にコマセで煙幕をつくり、その煙幕の中に仕掛けを潜り込ませる。すると、アジがバンバン釣れる。

「なんだ、簡単じゃないか」

そう簡単なのだ。「アジの回遊する層」さえちゃんと把握していれば。

たとえば、デパートの4階で買い物をしたいのに、何を勘違いしたのか5階をずっと歩き回っているようなものだ。

アジの回遊する層から50センチだけでも外れてしまうと、どんなにコマセを振ってもアジは釣れない。光進丸では、担当する船長が海面から何メートルカゴを落とせばいいのか具体的に指示をしてくれる。

裕治親方 そのときにリールのカウンターではなく、道糸を見てください。10メートルごとに色が変わります。そして1メートルごとに印もついているんです。この海面からの深さを意識できれば、アジは釣れますね。

金谷の大きい黄金アジ、ヒットした直後、サオを持っている手首がギュンと持っていかれる。とても強烈な衝撃波だ。

このときに気をつけたいのは、サオを思い切り振りかぶるようなアクションをする「オニ合わせ」は必要ない。じんわりとサオの軟らかさを利用して、ハリを食い込ませていけばいい。

キンキラキンの黄金アジ、ぜひ体験してみてください。慌てなくてもいいですよ。夏休みに房総半島に遊びにいくプランを練って、午後便なら早起きをしなくてもいいですよ。金谷の海と黄金アジは、みなさんを待ってますよぉ~。【寺沢卓】

【問い合わせ】金谷「光進丸」【電話】0439・69・2697。LT黄金アジの出船は午前6時と午後1時30分、エサ、氷付きで午前9000円、午後6500円。

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