「オレは五目釣りが好きなんだよ」と、話す“アニキ”こと俳優哀川翔(59)が、現在「Go To トラベル」でわき上がる温泉街・熱海の海に繰り出した。街は日本全国からの観光客であふれかえっているけれど、さて海の中はどうなんだろうか? 軽くコマセをまくとアニキのサオ先はギュンギュン! ソウダガツオ、サバ、イナダ…そして黒い印のあるシルバーのこの魚は何なんだ?

熱海の街はにぎわっているね。いいことだ。オレらが熱海に釣りに行ったのはこの「Go To トラベル」キャンペーンの始まるちょっと前だったけど、海の中は多種多様な魚であふれ返っていたね。しかも、山の斜面に温泉街をつくっている熱海の街並みがすぐそこにある海域で釣れちゃう。港から船を出して5分もすれば釣り場に到着できる。こんな釣りの条件のいい海もそうそうない。

今回は、釣り友だちのノブちゃん、エージ、ヤマちゃんと熱海「喜久丸」でお世話になった。この船宿はテレビのロケで初めて乗って…もう15年ぐらい前になるのか、松本早人(はやひと)船長とも気心が合ってちょいちょいおじゃましている。時期を問わずオキアミをエサにする五目釣りができるのがいい。潮がちょっと遅れているようだけど、青物がようやく入ってきたようだ。期待できるねぇ~。

5分といったら本当に5分だった。80号のコマセカゴにオキアミを詰めて、そのオキアミの中からハリに刺すオキアミを選ぶ。これが面白いんだ。コマセとしてまき散らすオキアミの中から魚が興味を持って食いつくオキアミの王さまを選んでいく。オレの中では、丸まったのはダメだ。背筋がシャンと伸びていて、真っすぐで長いヒゲと尻尾もきれいなオキアミがいい。人間も同じだろう。一本筋の通っている根性があるか、ないか。人間も五目釣りも同じなんだよ。

釣りは順調だった。第1投で強い引きのソウダガツオ、その次にはサバだ。この2種はすぐコマセに反応するから、ものすごく釣れた。でもね、早人船長に聞くと、この2種もようやく釣れるようになったらしい。温暖化なのか海がちょっとズレてきてるのかもしれないねぇ。でもこの2種が釣れるからこそ、珍しい魚も口を使ってくれた。

仲乗り(船でいろいろと手伝ってくれるお兄さん)が「あー、それレアな魚です。ヤイト、ヤイト」と、オレの釣った魚を指さして大声で教えてくれた。キラキラの銀色で、おなかのあたりに黒い斑点がいくつかある。ソウダガツオににているけど目がちょっと小さい。仲乗りは「ヤイト」といっていたがなんだろう? こういうときすぐスマホで調べちゃうんだ、オレ。

「やいと」と文字入力すると、出てきた。漢字で「灸」と出た。そうか、この黒い斑点が、おきゅうをすえたような跡にみえるからなんだ。正式名称はスマガツオ。なかなか漁でも捕獲できない魚で高級魚なんだと。持って帰って昆布じめにしたら絶品だった。熱海の海に感謝だな。

その後、イナダも釣れた。小さいけど胴回りがスゴかった。これは刺し身と、すこし厚めに切ってしゃぶしゃぶにしたら、ほっぺたが落ちそうになった。それと500グラムぐらいのマダイ。逃がしたけどショウサイフグとかまぼこの具材になるエソと、オレは七目釣りを達成した。エージがカンパチを釣り上げていたから船では八目だった。数字がラッキー7や、末広がりの八というのはいいね。

この五目釣りなら初心者や釣りに慣れていないファミリーやカップルにはいいんじゃないか? 来年3月まで「Go To」のキャンペーン期間だし、ゆったり温泉に入って、釣りも楽しんでくださいね。【構成&写真・寺沢卓】

▼熱海「喜久丸」【電話】090・5456・8449。コマセ五目とカワハギを狙っています。集合次第出船・午前6時と正午の2便制。ともに1万1000円。釣り道具のレンタルあります。クーラーボックスだけ持ってきても大丈夫。まずはお電話ください。