大ダイは確実にいる。沖釣りの人気ターゲット、マダイが春の乗っ込みシーズンを前に早くもフィーバーが始まった。静岡・久料「魚磯丸」(久保田清船長=76)では前景気をあおるかのように、7・5キロとか4・9キロが上がっている。駿河湾と東京湾では13日にマダイダービーがスタートした。一発大物が釣れれば、アッという間に首位浮上もあり得る。釣り大好きの本紙プロ野球評論家、「タイ魔神」こと佐々木主浩氏(53)も出走を表明している。最終日の5月16日まで、マダイ王を目指して熱い戦いが繰り広げられそうだ。

雄大な富士山を背景にサオが満月に絞り込まれる。よく見られる光景だ。2月9日に4・9キロ、3月10日には掛川政之さんの7・5キロが出た。巨ダイはどこかに潜んでいる。あとはこれを食わせるだけ。

実釣当日の午前便、左トモ(最後方)では池田洋之さん(39=東京都八王子市)が1・5キロを頭に、3匹立て続けに釣り上げた。「船長が指示したタナ(魚の遊泳層)にコマセカゴがくるように合わせた。タイミングを逃さず食わせた。これから楽しみですね」と話した。

夫と乗船した午前便では釣れず、2人とも午後便に乗った瀬戸奈央子さん(25=静岡県御殿場市)は、終了間際に貴重な1・8キロを確保した。「道具を片付けていたら置きザオが曲がっていた。最後まで指示ダナを守ったのが良かった」と笑った。

午後便では、マダイどころか船釣りは初めてという本紙の鹿野芳博記者が最後の最後に3キロをゲット。午前便に乗った「世界のクローザー」佐々木氏からリリーフを頼まれて、サオ頭になった。「久保田船長の言う通りに仕掛けを漂わせていたら釣れました」。これこそ、タイ釣りの極意だ。

久料でのマダイ釣りは、指示ダナが30メートルとアナウンスされたら、その水深に仕掛けのハリス分(長さ10メートル)を加えた40メートルまで落とす。そこからコマセを振り出して、3~4メートルほど巻いてはサオをシャクる動作を2回ほど繰り返し、ハリス分巻いて30メートルで待つ。リールの道糸の色でどこまで落としたか判断するのが、最も正確なタナ取りになる。

コマセは、コマセカゴに半分程度。カゴの下側を3~5ミリ程度開け、コマセのオキアミがポロポロと出るように調節する。時には道糸を2~3メートルほど引っ張り出して落とし込む。サオをシャクって上げて誘うパターンで食うのか、ユラユラ落として誘って食うのか、どちらに分があるのか判断しながら誘う。

「付けエサのオキアミの頭がとられる場合、脈ありです。シッポを長めに切って頭に近い部分で針を出してください。仕掛けの投入は必ずコマセカゴが先。その後に落とすハリスは、針から1メートルほどのところで手を放すとスンナリ沈んでいきます」(久保田船長)。

3月に入り、例年通り型物が上がり始めた。そろそろ乗っ込みが本格化する。「卵を抱えている方が目方が重い。チャンスを逃さずゲットすることが上位への条件でしょう」と、久保田船長は分析している。【赤塚辰浩】

▼船 久料「魚磯丸」【電話】055・942・3230。3月までは午前便集合5時30分、午後便同正午。4月1日からは午前便集合4時45分、午後便同12時30分。料金は、午前または午後便のみの場合、氷・コマセ・エサ付き1万円。両方乗船の場合、同1万9000円。女性と中学生以下は1000円割引き。