夏至を迎え、暦の上ではもう夏到来。夏本番に向けて旬となるのがマダコだ。千葉・富津「みや川丸」(宮川淳船長=61)で22日、テンヤマダコに初挑戦した。マダコ釣りには、主に餌木とテンヤがある。釣り初心者の記者はマダコ釣り自体初体験だが、今回はテンヤに挑戦した。

みや川丸のテンヤマダコは手釣りで、釣りざおを使わない。渋糸やテンヤは全てレンタルできるので、初心者でも手軽に楽しめるのも魅力だ。用意が必要なのは、渋糸を手繰る際に指を保護するゴムサックだけでOK。宮川船長自作のテンヤには、餌のカニがくくり付けられていた。

この日、初挑戦は自分だけ。宮川船長がマンツーマンで釣り方をレクチャーしてくれた。「テンヤを投入して着底したら、ひたすら小突く。魚のようなアタリはなく、テンヤにマダコが乗った重量を感じて、重くなったと思ったら数秒待って合わせてください」とし、「釣り上げる時は一定のスピードであげること。また、タコが船に張り付くとあげられないので、船から距離を取ってあげてください」と続けた。

最初は根掛かりなのか、乗ったのかが全く分からなかった。「乗ったかな…?」。期待と不安で合わせると「スカッ!」と抜ける。そんな状態を繰り返した約2時間後。明らかに重くなった。「乗った!」。5秒ほど後にフッキングするとグンと右手の人さし指に重さが伝わる。「来た!」。宮川船長がタモを持ってかたわらで待つ。海面に姿が見えた瞬間、タモですくいあげてくれた。初マダコは700グラムと小ぶりだったが、あの引きはクセになりそうだ。

隣では常連客の久我良三さん(75)が、この日最大となる2・1キロを取り込んだ。「1匹目を釣りあげていたので、安心して大きいのを狙えた。2・1キロは重かったよ!」と満面の笑みを浮かべた。

宮川船長によれば「今年は去年よりわきが少ない。例年だと6月になると小さなタコがわいてくるけど、少ししか出ていない。この後わいてくるのか、このままなのかは分からない。5~6年前にもこんなことがあった」と百戦錬磨の船長でも予想不可能状態。だが、現実として富津南沖では連日2キロ台が出ている。

手釣りテンヤマダコの魅力を「マダコの重みをダイレクトに感じられること。これが1番」とアピールする宮川船長。今年の夏休み、手軽に楽しめる手釣りテンヤマダコでファミリーフィッシングはいかが?【川田和博】