サビキだけの簡単な仕掛けで多彩な魚が狙えることから、人気が高まっている落とし込みで青ものやマダイ、あわよくばヒラメを狙おうと先日、三重・鳥羽の石鏡漁港から出る乗合船「三幸丸」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)で同沖へ出た。ベイトフィッシュ(小魚)が大きな群れをなすチャンスタイムが少なくて苦労したが、朝の時合に85センチのサワラや50センチのマダイに加え、大ハマチが多数ヒットした。落とし込みはフィッシュイーター(青ものなど)が針に掛かったベイトに襲いかかるまで待っている間のドキドキ感がたまない。1度体験してみてはいかがですか。きっとはまりますよ。

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ベイトが掛かり、竿先がブルブルッと震えたあと、ギュイーン。朝イチから強烈な引き込みでロッドが次々にしなった。「水深40メートル、ベイトは35~40メートル」。里中典生船長が魚群探知機の反応をみながらアナウンスを繰り返す。すると、船尾の橋口倫宏さん(大津市)がやわらかい長竿でイワシを鈴なりに掛け、55~60センチのハマチを3連発でゲット。「指示ダナで竿を上下して止めているとイワシが掛かったので底まで落とし、ゆっくり引き上げると食ってきました。イワシが掛かってから、青ものが食いつくまでのドキドキ感が最高ですね」とうれしそうに話す。

朝のうちは里中船長の巧みな操船で、ベイトの大きな群れをとらえ、フィッシュイーターが順調にヒット。左舷前方のベテラン・岩口恵次さん(奈良市)は狙い通りに85センチのサワラを仕留めて満足顔。「ベイト反応の下のほうはアジやサバが多いから、上のほうに群れているイワシを掛けるのがコツなんですよ。いいサワラだね」と日焼けした顔で自慢の獲物を披露。

さすが、ベテラン。イワシさえ掛ければ釣ったも同然って感じ。落とし込みは何が食ってくるのかわからないところも大きな魅力。イワシを追い回しているサワラは脂が乗っていて絶対にうまいやつ。記者も強烈なアタリをとらえたが一瞬でラインブレーク。「今のはサワラやな」と船長に言われ、悔しさが込み上げる。

また、右舷ではルアー釣りが専門で落とし込みは初めてという斉藤匠さん(松阪市)が50センチの美形マダイを食わせて大喜び。「底付近でしゃくりと止めを繰り返すとイワシが掛かり、ガツンとヒットしました。落とし込みって面白いですね。大物が食いつくまでがとてもスリリングで、はまりまそう」と興奮気味に話す。

だが、3時間ほどして東の風が強まるとベイトの反応がダウン。落とし込みはベイトが固まっていれば高確率で釣れるのだが、散らばればフィッシュイーターもいなくなるという、明暗がはっきりした釣りである。それでも、里中船長が懸命にベイトの群れを探し回って奮闘。指示ダナで竿を振っては止め、サビキ針を光らせると時折、イワシが掛かり、ハマチが竿を絞る。記者も60センチの大ハマチをなんとか2匹ゲットし、正午すぎに納竿した。落とし込みはベイト次第。ベイトが固まっている時間が長い日なら、ヒラメやハタなどの活性もぐんと上がり数、型ともに期待できる。【近江康輔】

【今後の見通し】落とし込みはベイト次第だが、例年、10月ごろまで楽しめる。ベイトが掛かりやすいオモリ負荷50号ぐらいの長めの竿がお薦め。その後はウタセエビで狙う秋のマダイ釣りが好機を迎える。こちらもテクニカルな釣りなのではまる人が多いですよ。

【問い合わせ】三幸丸【電話】0599・32・5604。乗合船料金は半日便1万円(氷付き)。出船は午前5時半ごろ。素泊まり3000円。「幸徳丸」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)【電話】090・7303・5080もある。

【交通】近鉄鳥羽駅下車、バス、タクシー利用。車は大阪から名阪国道、伊勢自動車道、伊勢二見鳥羽ライン経由。鳥羽IC交差点から国道42号へ。鳥羽駅をすぎて同167号へ。安楽島大橋を渡り、県道750号から同128号(パールロードシーサイドライン)へ。約20分で石鏡漁港。