梅雨も明け、いよいよ夏本番。夏が旬の魚は数あれど、駆け引きが醍醐味(だいごみ)で釣って楽しく、食べておいしいのがマゴチだ。モデルでツリジョの利水つばさが、神奈川・鶴見「新明丸」(新明慶樹船長=41)でマゴチ釣りに初挑戦した。釣り上げたのは船中最後だったが、コツをつかむと、この日最大となる57センチを釣り上げた。

この時季のマゴチは「照りゴチ」と呼ばれる。特に東京湾奥は、強烈な日差しでプランクトンなどが死に、海が濁る。そうなると魚の警戒心も薄れ、浅場での荒食いが期待できるのだ。

「マゴチ釣りのポイントはタナ取りと餌付け」と新明船長。まずはタナ取りだが、「重りが着底したら1メートルくらい上げる。これを1分間に2~3回やってタナを取り直す。マゴチのアタリの半分はタナを取り直した直後にくるので、結構これが大事」。次は餌付け。同船ではサイマキエビを使う。「エビの角を折って、ヒゲの間から針先をエビの口に決めたらスッと下に落とすだけ。その後針をちょっと押してやって、折った角先に針先を出す。仕掛けを入れた時にエビのアシが動いていればOKです」。アオイソメは持てる利水だが、意外にもエビは苦手。「うわぁ~!」と悲鳴を上げた。

第1投目でアタリを感じるも、合わせのタイミングが早く掛けられなかった。だが「おもしろ~い!」と逆に火がついた。その後何度も掛けられず、釣り上げたのは乗船者の中で最後だったが、型は41センチとまずまず。「かわいくはない。カエルっぽい…」と苦笑しつつ、「前半に何度もバラしたので、今回はアタリのタイミングでサオを下げて合わせた」。

自らを「後半タイプ」という利水だが、コツをつかめばこっちのもの。途中マダコを乗せると、重りで海底を小突く「タコの誘い」で船中最大57センチをゲット。「細かくタナを取っていたわけではなく『タコが釣れたらいいな』と思って小突いていた。その後に底から1メートル上げたら食って、即合わせで釣れた」。新明船長は「新しい釣り方を開発している」と笑った。

結局この日、計6匹とマダコ1匹を釣り上げた。「メチャクチャ楽しかった。魚との駆け引きがおもしろい。アタリのタイミングが分かると、今度はこっちがじらせようかなって」と笑った。

新明丸では通年でマゴチ釣りを楽しめる。新明船長は「ここ4~5年ずっといい。今年ももれなくいい」とし、「7月から8月にかけては横浜、富岡、羽田などの近場がいい」。取材は7月上旬だったが、「まさに今日から(ノッコミが)始まったかもしれない。昨日までは5~6匹釣ればトップだったけど、今日はスソ(最低)が6匹。こんなにアタリが出る日も珍しい」とニッコリ。この日のトップは11匹だった。そして梅雨は明け、今は照りゴチ真っ最中。「近場で大物が狙えます」と胸を張った。

釣りの世界では60センチ以上をモンスターと呼ぶ。ゲームもいいが、こっちの“モンハン”はいかが?

【川田和博】

◆利水(としみず)つばさ 5月2日、兵庫生まれ。母親が台湾人、父親が日本人で、5歳から日本在住。大阪学院大学在学中からモデル活動開始。17年11月、BS-TBS「釣り百景」で釣りをスタート。20年3月から釣りビジョン「TSURI na KIBUN」でメインキャストを務め、現在シーズン2に突入。168センチ、血液型A。

◆鶴見「新明丸」【電話】090・4600・1225 マゴチ船はサイマキエビまたはハゼ5匹付き9500円、6匹目からは1匹につき100円。フグ船餌別9500円。マダコ船(テンヤ)餌付き9500円、餌木も可。3船とも出船7時半。JR鶴見駅から徒歩約13分、京急鶴見駅から同6分。祝日を除く、毎週木曜日定休。

<新明船長からのアドバイス>

▼タナの取り方 重りが着底したらサオ先を海面まで下げながら糸を巻く。サオ先が海面についたところが着底ポイントを作り、その後サオ先と船の手すりが同じ高さになるところまでサオを上げる。この方法なら、深さが変わっていなければ、サオの上下だけでタナを取り直せる。

▼合わせ方 断続的なアタリが多いので、これがあったらサオ先を海面まで下げ、ピクンとアタリがあったときに合わせる。このときサオをしっかり持って、右手を添えて大きく合わせる。海面までサオ先を上げるのは合わせのストロークを取るため。上顎が硬い魚なので、合わせが小さいと引っ掛かっているだけで、バラシの原因にもなってしまう。

▼餌付け エビが元気じゃないとダメ。マゴチは動いているものに反応することが多い。エビは強く握りすぎても弱るので、逃げない程度に優しく握り、可能な限り素早くつける。また、しっかり上顎に掛けるために、必ず針先が上を向くようにつける。