地元、和歌山では味わえないダイナミックな友釣りを求めて8月29日、福井・九頭竜川の中部地区へ遠征した。午前8時すぎ、鳴鹿えん堤の上流にある谷口というポイントに入った。中洲(人工島)に渡り、流れの速い深瀬をオモリ、背バリ仕掛けで引くと九頭竜川らしいナイスボディーのアユが次々に掛かり、午後4時すぎまでに14・5~24センチを50匹追わせた。押しの強い流れに立ち込み、九頭竜アユの激しいアタック、パワフルな引きを全身で受けとめるスリリングなファイトを楽しんだ。

午前8時すぎ、鳴鹿えん堤の上流にある谷口というポイントの左岸に入った。水位は約10センチ高で濁りなし。大雨でアカが飛んでいたが、流芯には新アカが付きだす好気配。中洲に渡り、本流を狙った。川幅が広く、白波が立つ押しの強い流れが目の前に広がる雄大なフィールドに心が躍る。まずは、中洲の中段の深瀬から探っていく。手前でも腰までの水位があり、かなり流れが強いため、背バリに加え、オトリの20センチ上に1号のオモリをセット。オトリを送りだし、竿を寝かせると、いきなりガガッ、ギュイーン。一気に下流に走られてびっくり。3メートルほど川を下り、体勢を立て直して応戦。目いっぱいに竿を絞って慎重に浮かせ、引き抜いたのは鼻のとがった精かんな顔つきの23センチ。肉が厚いナイスボディーをした見事な海産アユだった。

「いきなり、これかよ。さすが、九頭竜川やな」と目が覚める興奮ファイトにテンションが上がる。すぐにオトリを交換。下流に送り込み、少しずつ引き上げると今度はゴソゴソとした前アタリをキャッチ。オトリを止めるとグルグル、ビュイーン。爽快なアタリがきた。

竿を立ててロッドの角度を保ちながら、急流に乗って走る野アユの引きを体全体で受け止める。これぞ九頭竜川といった野アユとの真っ向勝負。取り込んだのは、これまた23センチ級のグッドサイズだった。めちゃくちゃ楽しい。少しずつ川を下り、釣れそうな筋を丹念に探ると激しいアタリで次々に掛かり、引き舟がみるみるうちにいっぱいになる。そして、水温が上がりだした午前11時ごろ、胸まで立ち込み、流芯寄りを攻める。

ロッドの反応に神経を集中させ、少しずつオトリを引き上げると、ふっとラインのテンションが軽くなったあと、手元までグーンとくる強烈な引き込みで竿が大きな弧を描く。押しの強い流れの中、体勢を立て直して必死で応戦。振り子抜きで上流に飛ばし、タモに収めたのは、ぼってり肥えた24センチだった。

その後も、同じ筋を攻めると良型が6連発の入れ掛かり。ふだんはやらない振り子抜きで豪快に上流へ飛ばし、流れに乗せて取り込むダイナミックなやり取りを堪能。午前中に18~24センチを36匹追わせた。午後は人が多くてポイントが限定されるため、2時間ほど釣り場を休ませてから再開。さすがに追いが渋くなったが、午前中の筋を角度を変えながら攻め直し、14・5~21センチを14匹追加。足がパンパンになり、踏ん張りが利かなくなった午後4時すぎに竿を置いた。家に帰り、寝る前に目を閉じると、昼間の豪快なやりとりが脳裏によみがえるほど、楽しい釣りだった。【日刊FPC・下田成人】

【今後の見通し】鳴鹿えん堤の上下流ともに天然そ上が良好で魚影が濃く、これから絶好機を迎えそう。取材後は雨で増水し2日現在1メートル高で濁りあり。水位が下がれば、再び活発に追いだすと思われる。天候と現地に水況確認をしてから釣行していただきたい。

【問い合わせ】九頭竜川中部漁協【電話】0776・61・0246。年券1万2000円、日券3000円(ともに税込み)。

【交通】北陸自動車道の福井北ICを出て、左折し突き当りを右折。直進し信号を左折し、県道113号に入り、春日の信号を右折。国道416号で谷口、飯島方面へ。白山神社の手前を左折すると谷口の左岸。