ブラックバス釣りの楽しいシーズンを迎えた。夏から秋へと季節が移りゆくなかで、陽気が涼しくなるとともに活性も上向く。茨城・新利根川「松屋」(松田健一店主=66)では40センチ超級もヒットしている。初心者でも楽しめるこの季節、実際にどんな狙い方をすればいいのか? バスプロの茂手木祥吾氏(45)の釣行に同行してみた。

茂手木プロ、松屋からの情報や川を自分で見て仮説を立てていた。「8月半ばの大雨で増水していた川は、減水に転じている。水が減って、エサとなる小魚やエビ類がアシ際から水量のある少し沖側に逃げ出す。ブラックバスはこれを追って、シャロー(浅場)の奥のアシ際から少し離れた流れの宙層に出ている」。

自分の見立てが正確かどうか、店前からまずは上流部へとさかのぼってルアーをいろいろ試した。増水していれば、アシ際ギリギリにボートを近づけてもいいだろう。減水のため、2~5メートルほど離す。バスの真上にボートを浮かせると、警戒させてしまうからだ。

ネコリグやノーシンカーワームを落とし込んだと思ったら、ポッパー、クランクベイト、スピナーベイトをフルキャストして巻いてくる。攻めるポイントもさまざまだ。アシ際、クイ周り、護岸ブロック、大きな木が川面に覆いかぶさってできた影、橋脚周りなどなど。バスがいないと判断したら、次々とルアーと攻め場所を変えた。

「釣行前夜の雨のせいか、冷たい水が入ってアワ立ち、水が濁っている上流部は見切りをつけます。酸素が少なくて魚がいませんから」。

午前5時30分ごろのスタートから探し回ること2時間半、良さそうな場所を下流部で見つけた。河口水門手前のアシ際。護岸ブロックの横にアシが生い茂り、少し飛び出たアシの突端には南西からの風も吹いてさざ波が立っている。アシ際から少し川底が下がり気味にもなっている。「同じ川でも、こういった場所は水質が良く、風が当たって酸素も豊富だから、バスはいるはずです」。

好条件が重なるポイントでネコリグを落とすと、いきなり33センチのバスはヒットしてきた。5・5インチ(約14センチ)のワームを真ん中でフックに引っかける。水中でV字を描いてエビが逃げ惑うさまを演出して誘った。

答えが出た。次いでスノヤワラのアシ際への場所を移し、32センチをヒットさせる。エサとなるエビが水中で泳いでいるのが見えた。続いて妙義水道の水門の矢板周りで35センチと、同じパターンを追釣した。「アシ際からバスが出てくる距離感を保って誘った。酸素があって適温でエサのある場所を見つけるのが、夏から秋にかけてヒットさせるコツです」。トーナメントでいろいろな経験をしてきた茂手木プロの実釣パターン、初心者にも参考になる。

<茂手木プロのアドバイス>

◆水深チェック 魚探を持っていない人は、自分のロッドの穂先を水面に突き刺して、水深をチェックする。穂先が底に着けば、深さが分かる。

◆リールの使い分け 細めのラインで軽いルアーを投げるならスピニングリール、太めのラインで重めのルアーを落とすならベイトリールと、使い分ける。

◆スプレー 虫よけスプレーや、Tシャツを冷やすスプレーは必需品。

◆熱中症対策 まだまだ暑さの厳しい日があるので、麦茶やスポーツドリンクなどの飲み物は多めに。塩あめや果物、ゼリー飲料なども持っておくと便利。

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◆茂手木祥吾(もてぎ・しょうご)1976年(昭51)5月26日、東京都練馬区生まれ。3歳のころから祖父や父に連れられ、釣りを開始。船、磯、渓流からルアーまですべてをこなす。会社勤めをしながら、23歳でバスプロに。トーナメントなどに参加し、2012年(平24)には福島・桧原湖で優勝。現在は同湖で釣りガイドも務める。

▼ボート 新利根川「松屋」【電話】0299・79・1369。9月から出舟午前5時30分、岸着午後4時30分。毎週木曜定休。手こぎボート2500円、免許不要艇は11フィート3000円、14フィート3500円(1人増える場合は1000円加算)。5馬力エンジン付き7000円(エレキ付き1万円)、同9・9馬力9000円(エレキ付き1万3000円)。食堂は朝受付時の予約制で、営業は午前11時から午後3時。もつ煮込み定食(700円、税込み)はおすすめ。