秋のウタセマダイが好調に釣れだした三重・鳥羽の石鏡沖へ9日、乗合船「幸徳丸」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)の午後便で出た。餌取りや2枚潮で釣りづらい時間帯もあったが、まき餌が効きだすとマダイや青ものの食いが立ち、潮が速くなった午後5時すぎからは入れ掛かり。仕掛けを浮かせ、止めを入れながら中層を探った竿頭が31~55センチのマダイ7匹、68センチメジロに40~45センチのハマチを6匹釣り上げた。初期から食いが活発で満足のいく釣行だった。

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ウタセマダイ釣りは船長が潮上からウタセエビ(ウミエビ)をまき続け、そのまき餌と刺し餌を同調させて釣っていく。マダイの活性が高まる夕まずめを迎えると船尾のベテラン・中村浩さん(伊勢市)の独壇場となった。「底は餌取りと小型マダイが多いので、中層を狙いました」。ヒットパターンは、潮の速さに合わせて20~50号のオモリを使い分け、糸を10メートルずつ出しては止めを入れるという誘い方。これが見事にはまった。

水深は約35メートル。糸を送り、3回目の止めを入れると竿先にコンコンとアタリがきてヒット。鋭い三段引きをかわし、浮かせたのはオレンジ色のきれいな魚体をした55センチのマダイだった。さらに40~45センチを3連発させ、他を圧倒するペースで良型マダイを独り占め。

「魚が餌に違和感を持たないように糸を送り込み、餌が自然に流れているように見せるのが大事。すると止めを入れたときに魚が思わず食いついてくるようだね」とにんまり。その後も周りが速い潮に苦戦する中、1投1匹で68センチのメジロや45センチ級のハマチなども釣り上げ、納竿の午後6時すぎまで竿を曲げ続けた。

この日はビギナーも大喜び。船長からウタセエビの刺し方や基本的な釣り方(底までオモリを落とし、5メートルほどゆっくり引き上げることを繰り返す)を教わると順調にアタリをとらえ、竿を曲げていく。初めてマダイを釣りに来た船首の小島ひろみさん(伊勢市)は、25センチのマダイを5匹に40~45センチのハマチやカンパチもゲット。「こんなに釣れるなんて、めっちゃ楽しいです」と感激。

左舷中央でも、井村笙子さん(伊勢市)がおいしそうな48センチの良型を釣り上げ「いいサイズが釣れました」とうれしそうに獲物を披露してくれた。餌取りや2枚潮で釣りづらい時間帯もあったが、マダイや青ものの食いが止まることはなく、ウタセマダイの好機到来を実感した。竿頭は中村さんで31~55センチマダイを7匹、68センチメジロ、40~45センチハマチを6匹キープ。小型をかわし、良型を食わせるというベテランの技が光った。【中村和嗣】

【今後の見通し】マダイはこれから年末にかけてサイズが良くなり、30~40センチを中心に50~60センチ交じりで2桁釣果が狙える。13日には91センチのジャンボマダイが上がっており、一発大物にも期待が膨らむ。ハマチや、メジロ、カンパチの魚影も濃いのでクーラーは大きめがお薦め。

【問い合わせ】幸徳丸【電話】090・7303・5080。マダイ釣り乗合船料金1万2000円(餌、氷付き)。現在は午後便のみ。集合時間は午前11時半。仕立船もあり。ほかにも「三幸丸」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)【電話】0599・32・5604がある。

【交通】近鉄・鳥羽駅下車、バス、タクシーを利用。車は大阪から名阪国道、伊勢自動車道、伊勢二見鳥羽ラインを経由、鳥羽IC交差点から国道42号へ。鳥羽駅を過ぎて同167号に入り、安楽島大橋を渡り県道750号から、同128号(パールロード)へ入り、約20分走り石鏡漁港へ。