「第29回全日本磯釣連盟東日本支部京葉地区合同磯釣大会」がこのほど、千葉・内房にある金谷の沖磯で行われた。審査方法は、クロダイまたはメジナの1匹の全長(同寸の場合は、重量)。日刊スポーツ指定共栄会「岡澤」(岡澤裕治店主=44)から、腕に覚えのある28人が渡船した。南の風が吹き、ウネリもある条件下、平島で40・3センチのメジナを釣り上げた羽島桂太郎さん(58)が優勝した。

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▽クロダイ・メジナの部     

(1)羽島桂太郎メジナ40・3センチ(900グラム)

(2)山口弘一クロダイ37・8センチ(750グラム)

(3)石橋博明クロダイ37・5センチ(750グラム)

※レディース賞

   白石史恵 メジナ30・5センチ(460グラム)

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悪条件も何のその。28人は磯に上がると、思い思いの戦略でサオを出した。フタマ3人、平島5人、ドライブイン下3人、イタド4人、カブト5人、イタドのハナレ2人、小島2人、カツ又2人、イナダ2人。

「雰囲気はあるよ。釣れる予感がするねぇ」。店主自ら操船しながら、こう叫んでいた。

言葉どおり、平島では開始早々からメジナが乱舞していた。優勝した羽島さんが陣取ったのは、瀬渡しの船から釣り人が乗り降りする通称「チャカ場」。足場が高い上、湾奥(東京都側)に向いているため、足元の海はちょうど風裏に当たる。絶好のポイントだ。しかも、この日午前中から午後2時ごろにかけては、ずっと下げ潮になる。潮通しのいい足元を狙って、朝からポツポツと30センチ級を上げていた。同じ場所では、磯初体験の内田勇士さん(36)が2投目で35・8センチを仕留めた。次にもう少し大型が掛かったが、一気に走られて底に潜られ、バラした。

これを見て、確実に大物はいると感じた。午前11時ごろだった。「小型のメジナのアタリが消えたと思い、V字に切れている足元に見える沈み根の淵の部分を穴に落とし込んだら、その横からスーッと良型が出てきた」(羽島さん)。タイミングを逃さなかった。

平島よりやや沖にあるフタマでは、2位に入った山口弘一さん(46)が懸命に潮の流れを読んで、37・8センチのクロダイを確保した。手前に振り込むと足元に戻ってくる。15メートルほど沖目にキャストすると、右から左へと流れる潮に乗って、仕掛けはいい感じで漂っていった。「どの距離がいいか、いろいろと試しながらいい流れを見つけた」と話した。

3位(クロダイ37・5センチ)の石橋博明さん(71)と、4位の安藤慎吾さん(44)は、仲良くカツ又に上がっていた。石橋さんは最初、小型のメジナを釣っていた。「オキアミをコーンに替えた途端、いきなり食った。エサの選択が良かった」と笑う。

クロダイはエビ類、コーン、スイカ、サザエ、ヤドカリなど、極端な話、何でも口にする悪食(あくじき)家でもある。経験がものをいった。

安藤さんは沖側に見切りをつけた。「エサ取りの小魚が多く、試しにやってみた」。入り江状になっている陸側に仕掛けを投入すると、37・1センチのメジナが掛かった。立て続けにそれより小型のクロダイも釣れた。

昨年の「岡澤」の日刊スポーツ年間王者で、今回の大会を運営した宇畑好二さん(56)によると、今季は4年ぶりの厳冬で全国的に潮温が低かったため、クロダイとメジナのスタートダッシュは遅めだったという。4月半ばごろからポカポカ陽気の日が多くなり始めるとともに潮温も上がり、例年通り食いが上昇したと分析する。

「これからは先、産卵を終えたメジナは体力回復のため荒食いを見せる。それが通称『梅雨グレ』(グレは、関西地方でのメジナの呼び名)と呼ばれ、楽しみになる。来月早々までは一発大型とのやりとりが楽しめそう」と期待していた。【赤塚辰浩】

▼釣り宿 金谷「岡澤釣具店」【電話】0439・69・2232。沖磯の渡船に関しては要確認。釣り船はLT(ライトタックル)黄金アジで午前便は6時出船、9000円、午後便は13時30分出船、6500円(いずれもエサの青イソメと、コマセ・氷付き)。http://www.koushin-group.jp/

<協賛>がまかつ、マルキユー、東京湾フェリー、ささめ針ヤイバ、アトミックスライダー石鯛、アトミックスライダー磯、浜市、キザクラ石師魂、小林陶芸、リガーレ