最近にわかに話題になっているバチコンアジング(以下「バチコン」)。BS釣りビジョン「釣りうぇ~ぶ」MCの“おかまり”こと岡田万里奈(29)が、神奈川・八景「太田屋」(太田一也船主=54)で、「バチコン」に初挑戦した。同船は日刊スポーツ共栄会で現在、唯一のバチコンが可能な船宿だ。バチコンでは30センチ以上のメガアジが釣れやすいことから、ファンの間で同船は「メガアジの聖地」と呼ばれ始めている。一体どんな釣り方なのだろうか?

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そもそも「バチコン」は、ルアーを使ったアジ釣り(アジング)の1つだ。「Vertical Contact(バーチカル・コンタクト)」の略で、日本語に訳すと「垂直的コンタクト」となる。主に堤防などからルアーをキャスト(投げる)するアジングは、ルアーを横に引くため「横の釣り」となる。対するバチコンは、主に船からルアーを真下に下ろして“垂直”方向に引くことから「縦の釣り」となる。

仕掛けは主に「胴突き仕掛け」(ダウンショット)と「逆ダウンショット」(逆ダン)があるが、今回先生役を務めてくれた林一輝太田屋バチコン部部長(40)は「太田屋さんでは逆ダンを推奨しています」と説明。その理由を「ダウンショットはみつまたサルカンを使いますが、ジグヘッド自体が軽いので、みつまたサルカンが重過ぎるのです」と説明した。

おかまりは林部長推奨の逆ダンで挑戦。道糸0・6号リーダー2・5号にジグヘッド0・4グラムを直結し、捨て糸1・5号2メートルのエダスをリーダーの下から20センチあたりに編み込み、その先端に20号のオモリ装着でスタート。だがこの日の午前便は、林部長をして「冬も含めて最も厳しいかも…」というほどの渋さ。おかまりは25センチまでの3匹にとどまった。「ん~、これではバチコンの良さが分からない…」と、午後便で延長戦に突入!

時合いは午後2時半ごろにやってきた。左舷ミヨシの藤井秀育さん(36)と右舷ミヨシの阿部順一さん(56)がほぼ同じタイミングで36・5センチのメガアジを上げた。釣れた人の釣り方をまねる“丸パクリ釣法”が信条のおかまりは、2人にタナを確認するが、2人とも違った。そこで、まずは藤井さんのタナ1・5メートルを試した。「タナもワームも一緒。これで釣れるはず!」。そういいながら探ると、サオ先がグンとしなった。

「全然(午前とは)引きが違う!」。上がったのは30センチのメガアジ。その後林部長が、43センチのギガアジを上げると、すぐさま同じタナにセット。これで再びヒット。サオがしなった瞬間ドラグがシュルシュルと鳴るほどだった。2分ほどのやりとりが異様に長く感じる。最後は林部長のタモ入れで無事釣り上げたが、タモに入った瞬間に針が外れるという間一髪だった。計測すると40・5センチのギガアジに「楽しい~!」。その10分後にも33センチをゲットし、「午後も乗ってよかった。バチコンの魅力を体験できました!」とほほ笑んだ。

池田芳之船長(68)は「バチコンはまだ1年半くらいと歴史が浅いけど、結構大物が釣れています。うちの記録は49・5センチで女性が持っています。一年中できるので、ぜひ、1度挑戦しに来てください」とアピールした。

アジ釣りといえば、イワシのミンチをコマセでまいてアジを集め、アオイソメを餌に釣るのがポピュラーだが、バチコンはコマセも、餌も一切いらない。特にアオイソメが苦手という方は、男性でも意外と多いかもしれない。コマセのにおいやうごめくアオイソメにも悩まされず、しかもメガ&ギガアジが釣れやすいとなれば朗報だ。ぜひ1度、お試しあれ!【川田和博】

<釣り歴1年半の記者も初バチコンで30&33センチ>

釣り歴1年半ほどの記者も、バチコンに初挑戦してみたが、実際に30&33センチのメガアジが釣れた。なぜ、バチコンでメガ&ギガアジが釣れやすいのだろうか? 林部長の回答はこうだ。「恐らくアワセだと思います。コマセ釣りは基本向こうアワセ(釣り人がアワセを入れず、魚が食い込むのを待つ)ですが、バチコンはアタリがあればアワセを入れられるのでフッキングがしやすい。特にアジは口が弱いので、大物になればなるほど、フッキングが重要になってきます」。なるほど! また、コマセ釣りに比べるとテンビンやクッションゴムがない分、アタリがダイレクトで強烈な印象だった。

新しい釣り方を導入した理由を太田船主は「お客さんの要望があったから」としたが、「他でもやっていましたが、うちのように根周りで釣るところはなかったようで、44~45センチが釣れる感覚がなかったようです」と付け加えた。これが、同船が「メガアジの聖地」と呼ばれ始めた理由だ。

同時に、「必ずしもバチコンが有利とは限らない。コマセで大物が取れてバチコンがさっぱりの日もあれば、逆もあります」と話した。自然が相手である以上“絶対”はないが、今回体験してみて、大型を上げやすい実感はあった。

▼八景「太田屋」 【電話】045・782・4657。予約時に必ず「バチコン希望」を伝える。コマセと同船で釣り座を分けるためで、基本はミヨシ側となる。レンタルタックルなしだが、サオはキス用やティップラン用で代用可能。リールはスピニングでも、ベイトでも可。午前&午後の2便で、午前便は6時30分、午後便は午前11時30分集合で、いずれも6500円。現在はルアータチウオ、マダコも受け付け。※狙いの魚種は時季で変わるので、必ず電話でご確認ください。