高級魚のアコウダイを狙おうと先日、紀東・熊野の遊木漁港から出る「第十八正丸」で熊野灘へ深海釣りに出た。前半は3枚潮で食いが渋かったが、正午前から食いが一変。底潮がゆっくりと流れだすとアコウのすみかに仕掛けが入ったのか4、5、8連で掛かり、37~51センチを19匹もゲット。自己記録を更新する8連掛けを達成し大満足の釣行だった。アコウダイはこれからの寒の時期が旬。うまみが増してくるので楽しみだ。【日刊FS・田中一仁】

   ◇   ◇   ◇

アコウダイ釣りのだいご味は連掛けに尽きる。1匹目は船長の腕。そのあとに追い食いさせられるか、どうかは釣り人次第だ。午前6時半ごろ、ポイントに到着。水深は550~600メートル。流し釣りで釣っていく。左舷の船尾に1番の人、へ先に6番が入り、あとは右舷の船尾から2、3、4、5番の人がスタンバイ。

この釣りは底とりが第1条件。1番の人の投入が済んだら、船を少し走らせ、次に2、3番と仕掛けを入れていく。そして全員の投入が終わり、各自着底後、30メートルほど仕掛けを引き上げ、糸ふけをとり再び落としてアタリを待つ。このように投入に時間がかかるのでチャンスは8回だけ。餌はイカ身のチョン掛け(長さ15センチ、幅1・5センチ)。仕掛けは胴突き12本針。

アコウダイの食い気は底潮次第。速すぎたり、止まっているとなかなか食わない。午前中は上潮が速く、中層は右へ左へ。底潮も動きが鈍いのか、単発で37、40センチを2匹釣っただけ。

それでも昼前に底潮がゆっくり流れだすと食いが一変。6投目にチョンチョンと竿先が揺れて1匹目が針掛かり。ここからが勝負。ラインを少しずつ出していき、時折、止める誘いをかけてアコウダイの群れの中に仕掛けをなびかせる。

すると、2匹目からは強いアタリでコンコンと竿先が揺れ、次々に掛かり、ゆっくり引き上げると45~51センチが4連で食ってきた。その後も底の状態を丁寧にアナウンスしてくれる船長の指示に従い、探っていくと7投目は5連掛けに成功。

そしてラストの8投目、仕掛けを落とすなり、1匹目が掛かり、コンコンアタリが連発。引き上げると海面にアコウダイの行列が浮き上がり、なんと40~48センチを8連掛け(これまでの最高は6連)。仲間うちでは7連で釣ると「友だちをなくすぞ」と言われるほどの快挙にうれしさが込み上げた。

自己記録更新の8連掛けができたのは、船長の的確なアドバイスのおかげ。加えて餌も付けた状態で予備仕掛けをクーラーの中に用意していたことが功を奏した。獲物を取り込むときにほかの人と仕掛けがからまる場合があるので、うかうかしていると次の投入に間に合わなくなるからだ。深海釣りはハードルの高い釣りですが、この2つを守ればビギナーでも高級魚のアコウダイが釣れます。船長が親切丁寧に指導してくれるし、レンタルタックルもあるので手ぶらでも大丈夫。1度、挑戦してみてください。連掛けができるようになるとはまりますよ。

◆アコウダイの食べ方 鍋や煮付けにするとうまい。キモも一緒に炊くと絶品。特に背びれのところにあるゼラチン質の身がおいしい。ほかにも、胃袋を裂き、30秒~1分熱湯でゆがいたものを千切りにし、もみじおろしのポン酢で食べると、お酒のあてに最高ですよ。

【問い合わせ】第十八正丸【電話】090・4081・8531。乗合船料金(定員6人)1万6500円(税込み)、チャーター(同6人)9万9000円(同)。氷付き。出船、納竿時間は要確認。手ぶらプラン2万円~(乗船料、タックル、餌、仕掛け1つ含む)もある。

【交通】新名神高速道路、伊勢自動車道を経由。勢和多気JCTから紀勢自動車道、熊野尾鷲道路へ。熊野新鹿ICを出て、県道737号から国道311号で遊木漁港へ。