茨城・鹿島「第三幸栄丸」(小野和儀船主=52)で、ヤリイカ釣りを楽しむ常連客を取材した。鹿島沖では55センチのパラソル級続出に加え、数もトップで100匹超えの好乗りとあって取材を依頼。しかし、取材週からヤリイカが消息不明の事態となった。それでも取材当日、5隻中4隻がヤリイカ狙いで出船。果たして、ヤリイカの姿を拝むことはできたのか?

乗船させてもらった1号船の梅林将人船長(38)は出船前、「3日前から急に乗りが悪くなった。幽霊みたいだよ」とポツリ。そんな梅林船長が狙いを定めたのは大洗沖。鹿島港から約1時間半で到着すると、そこにはヤリイカを狙う船団が形成されていた。

紅一点の木村千恵さんは釣り歴13年の猛者。「1月あたりのカンネコ根は型がいい。いつもならその辺でイカは終わりだけど、今年はまだ乗っているので毎週来ています」。元キャディーで自らもプレーをしていたが、クラブをロッドに持ちかえた。「ゴルフは4人じゃないとできないけど、釣りは1人でもできますから」。イカ釣りは得意だが「初めてやったときは何が面白いのか分からなかった」という。「でも釣れたら楽しくなって、今では仕掛けも自分で作っています。1セット2000円くらいなので、くちゃくちゃになるともったいなくて」と笑うが、「市販品はどうしてもクセがついてしまうので、絡みやすい印象もあります。だから、釣りが決まった前日に自作するようにしています」。

この日はプラヅノ11センチ8本のブランコ仕掛けで、オモリは120号。パイプを組み合わせた仕掛け投入機にツノを投入。梅林船長の「水深78メートル、下から10メートルで探ってください」を合図にオモリを放り投げると、パイプからツノが発射され海中へと沈んだ。木村さんは早々にヒット。まずは1匹を確実に取り込んだが、その後はサバの攻撃に手を焼いた。

左舷ミヨシから3番目の門井光雄さん(58)は「一昨日も来て8匹だった。今日はなんとかツ抜けをしたい」。誘いでサオを上下すると、サオ先がわずかにしなった。取り込むと「みんなと同じで、やっぱり一番下についている。これだと厳しいかも…。上につかないと数は期待できない」。そう話した直後にはダブルヒットも達成したが、釣果は8匹となった。

「10日くらい前に来たときは80匹以上釣った」という柳澤基文さん(66)は右ミヨシで貴重な1匹を取り込んだ。「相手は自然だから、釣れる日もあれば釣れない日もある。釣れないからまた頑張ろうと思うでしょう。入れてすぐ釣れるなら面白くない」とある意味達観していたが、「それにしてもイカがいないな~」と笑った。

この日の状況を梅林船長は「前日に釣れた情報があってみんな大洗沖に集まったけど、反応自体が少なく、やりようがなかった」とお手上げ状態。今後については「新しい群れが入って来れば期待できると思います。特に鹿島沖はヤリイカの産卵場で、まだ産卵が終わったわけではない。だから、まだチャンスがあると思います」と話した。

相手は自然。釣れるに越したことはないが、釣れないのも釣りだ。この日、テンヤマダイ船を担当した荒原康宏船長(36)は「あくまでも僕の予想ですが、このまま終わることはないと思います。もう1回波は来るはずです」とアピールした。まだまだチャンスはありそうだ。【川田和博】

◆鹿島「第三幸栄丸」【電話】0299・82・6032。集合4時30分、氷付き1万2000円。午前&午後テンヤマダイ、フグ、メヌケ、アブラボウズも受付。※詳細は電話でご確認下さい。

■米田さん50センチ超え、畠山さんもダブル!

▼船中1匹目を釣り上げた志田茂夫さん(67)。「2匹乗ったと思ったけど、1匹バレた。悔しいね。いろいろな釣りをやるけど、この時季はイカしかないでしょう」。

▼50センチ超え大型ゲットの米田太さん(53)。「着底して巻き上げたらすぐに来た。ズンとした感じの重みでした」。

▼ダブル達成の畠山憲光さん。「1匹目をバラすとその後しばらく乗らないので最初が肝心。ダブルは落とし込んでから1メートル上げたら乗ったので、送ってみたら乗ってきた」。

▼2匹目ヒットが沖あがり15分前となった小川新一さん(54)。「やっと来たよ~! 1時間半ぶりです」。