台風一過の18日、兵庫・姫路の「知々丸」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)の乗合船で家島諸島へキス釣りに出かけた。チャリコ(小ダイ)やトラギスなどの餌取りが猛威を振るう中、記者はこの日、午後1時過ぎの納竿までに15~20センチを12匹ゲット。竿頭は17~23センチを71匹釣り上げた。シーズン終盤だが、9月半ば過ぎまで数釣りが楽しめそうだ。【大津賢一】

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どんよりした曇り空の中、午前5時半過ぎに乗船場を出て家島諸島周辺に向かう。左舷後方に入った記者は、ベテラン瀬尾広一郎さん(70、姫路市)からアドバイスをいただく。1日で3ケタの釣果を記録することもある瀬尾さん。仕掛けについて尋ねると、まず天秤を見せてくれた。「夢の天秤」という名前のそれは、形状記憶合金を使用していて、やわらかい。また構造がシンプルなため、糸がらみが発生しにくいという。いくつかお持ちとのことで、1つを貸していただく。

同6時過ぎから釣りを開始。釣り場に着く少し前から雨が降り出す。石ゴカイをエサに仕掛けを投入。瀬尾さんのアドバイスに従ってオモリを着底させ、底を数回トントンとたたき、浮かせて待つ。この浮かすときに大抵アタリが来るという。エサの垂らしは短め。長いと、キスがエサを吸い込んでも針まで届かないからだ。瀬尾さんをはじめ周りでは開始間もなくキスを釣り上げていく。だが、この日はチャリコやトラギスなど餌取りが多く、なかなか連掛けには至らない。記者は30分ほど格闘したところでようやく初キスをゲットできた。

釣り場を移動する際に、瀬尾さんがいろいろなことをレクチャーしてくれる。この日、早朝は家島の南から強い風が吹いていたので、上谷船長は最初に島の北側のポイントを狙ったのだそうだ。同9時過ぎに風向きが変わって、家島の南へポイントを変える。

雨は同8時過ぎには上がっていた。家島の南のポイントでは、大きめのキスが掛かりだす。周囲でも連掛けが見られるようになった。記者も20センチ超の刺し身級をクーラーに収め、マアジも連掛けでゲットした。

その後も釣果を重ね、午後1時過ぎに納竿した。竿頭は71匹の森山佳浩さん(49、加古川)。瀬尾さんと同じく「夢の天秤」を使っている。「糸がらみをなくすことを強く意識している。遊動タイプより固定式が好み。仕掛けの長さや投入の仕方を工夫している。誘い方や合わせをきくときにも得意パターンがあり、そこへもっていく。潮回りや魚の活性など、状況の見極めも大事」と釣果を伸ばすコツを教えてくれた。

瀬尾さんは66匹。「初めて100匹超えたときはうれしかった。ぎりぎりで届かないときが続いたこともあった。経験を積み、試行錯誤を重ねていくことで、その場その場の状況に応じた釣り方ができるようになる。そうやってうまく釣れた時が喜び」と、優しいまなざしでキス釣りへの熱い思いを語った。

【今後の見通し】キスの数釣りの最盛期は過ぎたが、食いは安定しており8月いっぱいまで50~70匹の釣果が期待できる。9月末までマアジ交じりで、連掛け、数釣りが楽しめる。

【問い合わせ】「知々丸」【電話】079・327・1761。キスの乗合船料金7500円、女性・高校生6000円、小・中学生4000円。午前5時集合、同5時半に出船。氷付き。

【交通】大阪からは阪神高速3号神戸線から第二神明道路へ。加古川、姫路バイパスを経由。中地ランプを出て国道250号を南へ。陸橋を越え最初の信号を左折。須加バス停前を右折。突き当たりを右折すると右側に知々丸の駐車場がある。