東京湾などでマダコの季節がやってきた。6月から解禁の場所もあるが、千葉・富津「みや川丸」のテンヤ釣りはすでに始まっており、日によってキロ級が上がっている。こちらでは手釣りで、餌のカニをくくったテンヤを渋糸で結ぶ。これを底まで落として、ひたすら小突く。
子供が首にしなだれかかってくるような重いアタリが伝わったら、ひと呼吸置いて渋糸を思い切り引っ張り上げる。テンヤに乗っていれば、岩から吸盤がベリッとはがれる感覚がジカに伝わる。あとは渋糸を緩めず、一定ペースでたぐる。海面にマダコが見えたら利き腕を船べりと直角に伸ばし、獲物を抜き上げて腕を目の前で旋回させる。こうすれば、船べりに張り付くことなく取り込める。
サオを使ったエギタコの船釣りもほぼ同じ要領だ。最初にアタリが出ても、これはエギに触手を伸ばしただけの「お触り」。合わせたいのをグッとこらえて5秒ほど待ち、サオをアオると乗る確率が高くなる。
ところで、軟体動物のマダコ、1ミリでも空間があれば逃げ出してしまう。油断もスキもあったもんじゃない。釣れたらネットに入れて口を固く結ぶ。これが必須の作業。人によっては100号程度のオモリを5本ほど入れた箱を持参し、漬物石よろしくクーラーの上に置いている。「大脱走」を阻むためだ。
釣ってすぐに食べたいのなら、粗塩や米ぬかを用意し、これらを足や頭にたっぷりまぶしてヌルを取る。
ポイントを移動する間や港に着いた後、頭を返して内臓やスミ、目玉、クチバシを取って、スーパーで精肉や豆腐などを買ったときに使うビニール袋に入れて冷凍保存する。1年は持つ。食べたい時に水道水で解凍すると、ヌルは洗い落とせる。実はこれ、飲食業に携わる千葉「小峯丸」の常連さんの受け売りでもある。

