千葉市にある千葉寒川「小峯丸」が創業90年を迎えた。これを記念して、シーバス(スズキ)のルアー釣り大会がこのほど、行われた。48年前に東京湾でこの釣りを始めて全国に浸透させた、発祥釣り宿でもある。大会には29人が参加して3船に分乗。千葉港周りなどで60センチ級を主体に、ミノーやメタルジグなどを使って良型シーバスとのファイトを楽しんだ。【赤塚辰浩】
★イワシの反応あり
ラスト50分でゴールデンタイムに突入した。午後0時40分ごろから沖上がりの1時30分まで、シーバスの活性が急に高くなった。ミノーにどんどんヒットする。まさに「マッチ・ザ・ベイト」だった。
一見、何の変哲もない港内の真ん真ん中の水深4~6メートル。A船の小峯雄大船長(42)は、「ベイトとなるイワシの反応がかなりあります」とアナウンスした。少し沖目ではカモメが10羽程度、海面に頭を突っ込んでイワシを捕食している。北または西寄りの風は吹いているが、上げ潮時と重なって海面が波立っている。シーバスの警戒心も薄れているはずだ。
そんな好条件の中、右舷後方で青柳拓磨さん(49)がいきなり70センチを掛けた。長さ15センチ、背中が青いイワシカラーのサスペンドミノーだった。「小さい魚がルアーに当たっている感じで何かがいると思った。タダ巻きして穂先を下げ、深く潜らせようとしていた。遊泳層が合っていたのかもしれない」。
これがヒットパレードの始まりだった。右舷ミヨシ(最前方)の若林啓祐さん(70)のイワシカラーで背中が蛍光イエローのミノー18センチに60センチ級がヒット。着水後、5秒ほど待ってルアーを沈め、巻き始めてすぐだった。「先週、この場所で18センチほどのイワシがルアーに掛かった。大きなルアーには大きなシーバスが反応する。同じ長さのミノーで誘った」。経験と準備に戦略が合致した。
若林さんのすぐ横では、阿部晋大さん(47)が足元で67・5センチを食わせた。ルアーを回収する際、ロッドを操って船べりで8の字を描く。これで船下で1度アタリがあったが、バラした。丹念に繰り返し、足元で食わせた。「下から突き上げられるような感じでした。ルアー(背中がピンクのミノー「セットアッパーDR」12・5センチ)を追いかけて、反転して食ったのかもしれない」。1本だけ持っていたミノーで食わせた。
その右にいた岡本勝史さん(47)は、周囲がミノーで食わせていたのでブレードジグから赤金14センチのミノーにチェンジ。着水して糸フケを取った直後に64センチがヒットした。「あの引きは魅力です。何回かキャストして、答えが出た」と笑顔を見せた。
雄大船長によると、例年ミノーパターンは今月いっぱいだという。イワシの群れとシーバスのやる気次第で、まだまだ大型バスに出合えるチャンスがある。
★「穴打ち」に分あり
B船(小峯翔太船長=39)に乗って大会で優勝した徳原大地さん(37)は、ピンク系のメタルジグ80グラムで68センチを2匹そろえるなど、4匹を釣って優勝した。2匹のシーバスの全長の合計で同サイズとなった土橋剛さん(40)は3匹だったため、釣果の差で2位に終わった。
小峯丸のシーバスは原則、船着き場を海中で支える柱の周り、原油や天然ガスなどを沖合に備蓄する基地(シーバース)の橋脚周りで水深が20メートル前後の場所が多く、メタルジグを落とし込んで狙う。この日は太陽が照っていたため、柱の手前の日なたで釣れるのは30センチ以下のセイゴクラスばかり。同じ柱の周りでも、できるだけ岸に近い日陰の暗い部分まで投げて狙う「穴打ち」に分があった。
徳原さんの場合、最初は60グラムを使っていたが左から右へと流された。「少し重めの80グラムならしっかり落とし込める」と判断した。「1匹目は落下中、2匹目は着底して3回ほど巻いてヒットした」と振り返った。
A船の船中第1号となった、右舷胴の間の長谷川公代さんは60グラムの江戸前イワシカラーでの「穴打ち」で仕留めた。「着底後に高速タダ巻きで4メートルほど上げて落とし込んで誘う、秋のパターンで奥にいたシーバスを引きずり出した」と言う。同じ胴の間で60センチ級を連発した安田拓矢さん(30)は、「ユラユラと落とし込まれる45グラムの赤金に反応した。当日の朝に釣具店で購入したばかりのジグにヒットした」と笑った。
納竿寸前、鉄板バイブレーション(15センチ、30グラム)で74センチを掛けて大会3位となったA船の右舷トモから2人目の歌川良一さん(55)は、メタルジグでも59・5センチなどの良型をヒットさせていた。こちらは40グラムのイワシカラーが有効だった。「ベイトタックルでジグを着底させ、リールを3回巻いたら落としての繰り返しで、ジグを落としている最中で掛かった」。
誘いのパターンを確実につかんだルアーマンが、シーバスをゲットした。来年春あたりまで楽しめるこの釣り、これからはジグがメーンとなる。重さは40~80グラム。「色よりは動かし方、誘い方が鍵です」と雄大船長は話していた。
■48年前に始め全国に広がる
小峯雄大船長によると、小峯丸は1935年(昭10)に漁師として創業し、2代目の茂美さんが遊漁船(釣り船)を開始。48年前にシーバスのルアー釣りを東京湾で初めて出したという。その後、3代目の雄一さんが継ぎ、今は兄雄大、弟翔太の「兄弟船」でカジを取っている。
30年ほど前のルアーといえば、メタルジグがダイワのファントム、ミノーはラパラのレッドヘッド(長さ9センチ)、通称「CD9」を大半の釣り人が使っていた。そこからルアーをはじめ、ロッド、ラインなどのタックルが発展した。
釣り物も広がった。イナダやカンパチといった青物、タチウオをはじめ、アオリイカやマダコのエギング、アジング、メバリングなど、ルアーで狙える魚が増えた。東京湾だけでなく、さまざまな地域で狙う船も増えた。小峯丸が果たした役割は大きい。
▼船 千葉寒川「小峯丸」【電話】043・222・6557。宿と乗り場が違うため、乗り場はカーナビで、千葉市中央区寒川町2の203の3と、住所入力する。釣り物、出船時間、料金などは要確認。ルアーの場合、頭部を保護する帽子、目の周辺を守るためのサングラスは必需品。原則、片舷で釣りをするためオーバースローも可能だが、キャストの際は必ず後ろや左右の安全を確認すること。







