医師で作家の鎌田實さん(67)が、日常生活のちょっとした工夫で健康になり、10歳若返るヒントを教えてくれます。

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 緑茶やコーヒーをよく飲む人は、ほとんど飲まない人に比べて、心臓や脳血管の病気で死亡する危険性が1~4割低い-。そんな研究結果を国立がん研究センターと東京大学のチームが発表した。日本人の成人約9万人を19年間追跡した結果である。

 具体的には、緑茶を飲むのが1日1杯未満の男性に比べ、1日5杯以上緑茶を飲む男性は、心臓や脳血管の病気で死亡する危険性が13%下がる。脳血管疾患では24%、呼吸器疾患では45%低下する。女性も心疾患で37%、脳血管疾患と呼吸器疾患でそれぞれ13%低下するという結果になった。

 コーヒーも、ほとんど飲まない人に比べ、1日3~4杯飲むと答えた人は、死亡の危険性が24%低かった。心臓病では36%、脳血管疾患では43%、呼吸器疾患で40%低下した。

 緑茶に含まれるカテキンや、コーヒーに含まれるクロロゲン酸には血圧を調整する効果や、血管を保護したり気管支を拡張する効果があることがわかっている。そのため、呼吸器疾患や心臓疾患、脳血管疾患を減らしているのだろうと推測されている。

 だが、ぼくはもう1つ大事な要素があると思う。それは、「いっぷくする」ことの大切さだ。仕事の手を休めて、お茶やコーヒーを飲む時間をもつと、それまで過緊張だった交感神経がほっと緩み、副交感神経が優位になる。

 副交感神経の時間をもつと、血管が拡張し、循環がよくなり、脳卒中や心筋梗塞のリスクが少なくなる。同時にリンパ球やがんと闘うナチュラルキラー細胞も増えることがわかっている。

 10時や3時にいっぷくする習慣を見直そう。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日、東京生まれ。東京医科歯科大医学部卒業後、長野県茅野市にある諏訪中央病院の医師になる(現在は名誉院長)。チェルノブイリ原発事故の患者支援、イラク難民支援を続け、東日本大震災後の被災地支援にも力を入れている。著書「がんばらない」など多数。