医師で作家の鎌田實さん(67)が、日常生活のちょっとした工夫で健康になり、10歳若返るヒントを教えてくれます。

 ◇ ◇

 よい睡眠は、免疫力を上げる。しかし、ストレスが多い現代人は眠れない人が多いといわれている。日本人の睡眠時間は減少傾向にあり、軽い睡眠障害を含めて1500万~2000万人が不眠を訴えているという。

 睡眠障害がある人はつい寝る前の作法を気にするが、一番大事なのは朝の起き方。朝起きて日光に当たることが、夜、快眠に落ちるために重要なカギとなる。

 朝、日光に当たると、セロトニンというホルモンが出る。セロトニンは十数時間後、メラトニンというホルモンに変化し、夜眠るという態勢に導いてくれる。

 このセロトニンは「幸せホルモン」とか「喜びホルモン」といわれている。これがたくさん出ることで、うつ病を減らすのではないかといわれている。

 朝、日光に10分間当たってみよう。これが幸せホルモンのセロトニンを出し、時間がくると睡眠を促すメラトニンに変換される。つまり、朝の日光浴が、いい睡眠・覚醒リズムをつくり、免疫力を上げるのだ。

 また、セロトニンの分泌は、よく笑うなど感情表現を豊かにすると活性化する。この「笑うこと」も大事だ。

 笑う人ほどナチュラルキラー細胞が多くなるという研究論文もある。

 諏訪中央病院のホスピス病棟では、末期がんの患者さんでも笑いが絶えない。笑うことで状態が良くなり、余命3カ月といわれた人が2年も生きるということが、時々ある。

 いい睡眠といい笑顔があれば、きっといい仕事ができるに違いない。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日、東京生まれ。東京医科歯科大医学部卒業後、長野県茅野市にある諏訪中央病院の医師になる(現在は名誉院長)。チェルノブイリ原発事故の患者支援、イラク難民支援を続け、東日本大震災後の被災地支援にも力を入れている。著書「がんばらない」など多数。