医師で作家の鎌田實さん(67)が、日常生活のちょっとした工夫で健康になり、10歳若返るヒントを教えてくれます。

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 ローフードダイエットなるものが取りざたされている。食品を生のまま食べる健康法である。熱を加えないので、「野菜の酵素やビタミンが効率よくとれ、体が若返る」のだとか。

 しかし、野菜の酵素をそのまま食べても、体の中に入ると胃酸などの影響を受けて、そのまま酵素として働かないといわれている。

 しかも、ローフードの食べ過ぎは逆効果。マーストリヒト大学の論文では、総カロリーの半分以上をローフードにすると、体内の善玉コレステロールやビタミンの量が減るといわれている。

 では、やはり加熱調理すればいいかというと、内閣府食品安全委員会が今年2月、面白い提言をしている。高温調理すると、特定のアミノ酸と糖類が反応してアクリルアミドが生じる。これが健康に対して懸念がないとはいえない、という遠回しな結論を出しているのだ。

 動物実験のほうが多く、人間に対してはまだはっきりしていない。

 アクリルアミドは、きつね色に揚げたフライドポテトやフライドチキン、トーストなど、焦げの色が濃くなるほど、濃度が高い。

 ならばどうしたらいいか。ゆでる、蒸す、煮るがいいのである。アクリルアミドはほとんど出てこない。野菜炒めも、硬いニンジンやゴボウなどはゆでておき、炒める時間は15~20秒ほどにすると、アクリルアミドが出ないことも分かってきた。

 結論は、ローフード伝説を信じすぎないこと。だからといって、高温調理で焦がしすぎないことが大事だ。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日、東京生まれ。東京医科歯科大医学部卒業後、長野県茅野市にある諏訪中央病院の医師になる(現在は名誉院長)。チェルノブイリ原発事故の患者支援、イラク難民支援を続け、東日本大震災後の被災地支援にも力を入れている。著書「がんばらない」など多数。