元モデルの歯学博士・照山裕子さんが、口臭が気になる、歯周病が進んできた…歯と口の悩みなど、皆さんの悩みに回答します。

 Q 昼はつまようじで済ませています。やむを得ないですよね。

 A ビジネスマンを対象にしたアンケートを見ると、「職場で歯磨きをしますか」という質問に「歯磨きはしない」と回答した人は59・3%。約6割でした。

 食べかすはほっておくと、8時間でプラーク(歯垢)になります。学生のとき、歯を磨かないとどうなるかという実験があって、歯垢がたまる様子を染め出しして学生同士、観察し合ったのですが、24時間そのままにしておくと地獄絵図でした。目に見えるくらいのかたまりになり、最低でも1日1回は磨かないと口の中は悲惨なことになるなという経験をしました。

 理想的なのは毎食後だけでなく、間食した際も毎度歯磨きセットを携帯してさっと磨くことです。しかし持ち歩いていない人がほとんどでしょうし、現実的ではありません。プラークになるまでには時間があります。夕食後にちゃんと磨く習慣があれば水やお茶でグチュグチュと口をゆすいでもらうだけでも十分効果がありますので試してみてください。

 歯科医の観点から、最も避けてほしいのはつまようじです。鏡を見て、前歯に付いた青のりを取る程度なら良いのですが、鏡も見ずに、詰まった食べかすを取ろうとつまようじをぐいぐい差し込む方が多いようです。歯肉を傷めてしまう可能性がありますし、自分で取れない場所までさらに押し込んでいる可能性もあります。私が今勤めているのはオフィスビル内のクリニックなので「歯肉が腫れて痛みが取れない」と駆け込んでいらっしゃる方を頻繁に拝見しますが、たいていはつまようじの間違った使い方が原因です。

 歯と歯の隙間の清掃に適しているのはデンタルフロス(糸ようじ)です。お口全体に使うには糸巻状が好ましいですし、何より経済的でお財布に優しいのですが、慣れるまでは時間がかかります。外出先で便利なのは柄付きのタイプ。詰まりやすい場所があるなら、柄付きフロスを持ってトイレに行く。一度使ってみると、スッキリ感がやみつきになると皆さんおっしゃいます。

 ◆照山裕子(てるやま・ゆうこ) 歯学博士。厚労省歯科医師臨床研修指導医。歯と全身の関わりについて幅広く学んだ経験を基に、機能面だけでなく審美的要素にもこだわった丁寧な治療がモットー。分かりやすい解説でテレビ、ラジオにも多数出演している。学生時代はモデル事務所に所属。近著に「歯科医が考案 毒出しうがい」(アスコム)。