元モデルの歯学博士・照山裕子さんが、口臭が気になる、歯周病が進んできた…歯と口の悩みなど、皆さんの悩みに回答します。

 Q 電動歯ブラシを使う人が増えてきましたが、先生はどう思いますか。

 A これまでの回で歯磨きの正しいやり方をお話ししましたが、実際その方法で5分磨くと、手首が腱鞘炎になってしまうんじゃないかというくらい疲れます。それを少しでも楽にしようというのが、電動歯ブラシの発想です。つまり、正しい歯の磨き方をマスターした人でないと何の意味もないですし、当て方を誤ると歯や歯肉を傷つける道具になってしまいます。せっかくの買い物を無駄にしないためにも、まずは歯科医院でブラッシングの基本を教えてもらいましょう。

 もう一点注意しなければならないのは歯磨き粉です。メーカーの方にお聞きすると、低研磨性のタイプか、研磨剤無配合のものを推奨されることが多いです。電動歯ブラシのパワーがあるので、機械的な摩擦と研磨剤の粒子で歯や歯肉を不必要に傷めないためです。電動歯ブラシを使う人は増えてきましたが、歯磨き粉との相性を考えて使用している方は、まだまだ少ないように感じます。

 電動歯ブラシはバリエーションが増え、毛の硬さやヘッドの大きさなど、どんどん改良されて来ています。私は職業柄、気になったものを片っ端から購入して試していて、どのメーカーでも購入するなら最上位モデルが良いなというのが率直な感想です。「歯ブラシが2万円もするの?」と驚かれるのですが、たいていのメーカーはヘッドが交換でき家族皆で使えます。時間の節約になりますし、歯を失うことを考えれば賢いお買いものだと思います。

メーカーごとに様々な特徴があり、今はフィリップスのソニッケアーを使っています。単に機械的に汚れを落とすだけではなく、独自の音波水流でプラーク(歯垢)を分解するシステムで、その後に行うフロスの時間が圧倒的に短縮されました。手磨きの際はどんなにこまめに磨いても、起床時にちょっといやな感じがあったのですが、そういった不快感もありません。毛先が届かないポケット深部や、磨きづらい奥歯の内側など相当細かい汚れまで落としてくれているのだと実感しました。

 ◆照山裕子(てるやま・ゆうこ) 歯学博士。厚労省歯科医師臨床研修指導医。歯と全身の関わりについて幅広く学んだ経験を基に、機能面だけでなく審美的要素にもこだわった丁寧な治療がモットー。分かりやすい解説でテレビ、ラジオにも多数出演している。学生時代はモデル事務所に所属。近著に「歯科医が考案 毒出しうがい」(アスコム)。