元モデルの歯学博士・照山裕子さんが、口臭が気になる、歯周病が進んできた…歯と口の悩みなど、皆さんの悩みに回答します。

 Q 妻に「大きないびきをかいていたよ」と言われました。

 A いびきとは、さまざまな要因で上気道が狭くなった時の、呼吸に伴う雑音を指します。原因はいろいろありますが、圧倒的に多いのが肥満です。首回りに脂肪がついて気道が狭まり、息が通らないためにいびきをかきます。他には、へんとうが腫れている、口蓋垂(こうがいすい=のどちんこ)が大きい、舌が大きい、下顎が生まれつき小さい人にも見られます。

疲れていたり、鼻が詰まっていたり、お酒を飲んだときだけいびきをかく…といったような一時的なものであれば、さして問題はないですが、問題は睡眠時無呼吸症候群を伴ういびきです。いびきは呼吸のリズムと同期しているため、途切れる場合は発見の手がかりとなります。

睡眠時のいびきは自分で気づかないことが多いようですが、音の大きさで起きてしまうようなケースは睡眠障害を引き起こし、昼間の活動に支障をきたします。治療を行わない場合は脳梗塞や不整脈など重篤な疾患だけでなく、交通事故などのリスク増加にもつながると報告されているため注意が必要です。

セルフチェックしてみましょう。

◆大きないびきを毎晩かく 。

◆いびきの合間に呼吸が止まっていると言われたことがある。

◆朝起きたときにだるい。

◆睡眠時間は十分なのに昼間眠くなる。

◆メタボと診断されたことがある。

◆若いころより体重が10キロ以上増えている。

当てはまる項目が多いほど、可能性が高くなります。治療法は原因や症状によって変わります。軽い場合はスリープスプリント療法といって、下顎を前に出し気道を広くするようなマウスピースを装着します。歯科医院で歯型を取って作製しますが、主に下顎が小さい方が対象になります。スリープスプリントで効果がない場合や肥満が原因の方は、CPAP(シーパップ)療法といって鼻に酸素マスクのようなものを装着し、寝ている間に空気を送り込むことが必要です。

いずれの治療も、睡眠時無呼吸症候群の診断が下された場合は保険診療での対応が可能ですので、気になる方は早めに医療機関を受診してください。

 ◆照山裕子(てるやま・ゆうこ) 歯学博士。厚労省歯科医師臨床研修指導医。歯と全身の関わりについて幅広く学んだ経験を基に、機能面だけでなく審美的要素にもこだわった丁寧な治療がモットー。分かりやすい解説でテレビ、ラジオにも多数出演している。学生時代はモデル事務所に所属。近著に「歯科医が考案 毒出しうがい」(アスコム)。