昨年、梅毒の患者数は全国で4518人を記録した。これをさらに都道府県別でみてみる。「トップ3」は東京都、大阪府、神奈川県がランクイン。直近4年間の推移は、東京都417人(2013年)→507人(14年)→1057人(15年)→1661人(16年)とほぼ4倍増である。2位の大阪府は、13年から157人→240人→324人→583人で約3・7倍に。また第3位の神奈川県は79人→106人→161人→283人と、およそ3・6倍に増えた(いずれも国立感染症研究所のデータ)。

 主な府県でみると、愛知県が第4位で255人と、神奈川県にほぼ並ぶ。続いて埼玉県190人、兵庫県181人、千葉県139人、北海道117人、福岡県107人、茨城県69人、福島県68人、京都府67人、静岡県61人、広島県49人、沖縄県39人などとなっている。

 昨年を上回る勢いが続いている今年の患者数は、全国で2880人(今月16日まで)。内訳は東京都905人、大阪府378人、愛知県169人、神奈川県163人、福岡県136人、埼玉県110人、兵庫県108人、千葉県76人、北海道58人などである(時期同じ)。

 これまで東京都は全国の患者の約4割を占めていたが(15年)、昨年は37%、現在は31%にまで低下している。おそらく地方との「格差」が縮まり、感染が都市から地方へじわじわと広がっていることを予見させる。

 東京・西新宿の性感染症専門治療機関「プライベートケアクリニック東京」の名誉院長、尾上泰彦医師はこう指摘する。「人口比率からいえば、大阪府が神奈川県よりも多いことに違和感を覚えます。(神奈川の)一部の患者が東京に流れている可能性があります」。

 年齢別にみると、男性は20~40歳、女性は20~24歳にピークがある。尾上医師はこうした若い女性に急増していることに注目する。「東京都の場合、10年にはわずか4人だった20~24歳の女性患者が、15年には99人。このわずか5年間で、何と約25倍に激増しています」。

 なお、20~24歳の女性患者だけでみると、大阪府は10年の0から27人(15年)へ、神奈川県では10年に1人だったのが18人に増えた。