今や誰もが陥る可能性がある「ネット、スマホ依存」。はたしてどういうタイプがそうなってしまいやすいのか。精神科医で成城墨岡クリニックの墨岡孝院長がこう指摘する。クリニックには親たちからの相談が大半を占めている。

 「一番ハマりやすいタイプは、リアルな世界に対して良い感情を持っていないタイプです。現実に満足できない、対人関係がうまくできない、そういったタイプが多い。そのためスマホが中間にあれば、それを介在して自己表現ができる子が多いわけです。性格でいえば非常に几帳面(きちょうめん)でまじめなタイプがなりやすいです」

 例えばネット以外のことについては「むなしい」「さびしい」と空虚な心を訴えるとか、不安な様子が見て取れる、いわゆる「内向的なタイプ」があてはまる。一方でハマりやすいのがそうだとすれば、その逆がハマりにくいといえる。たとえば「社交的」、悪くいえば人間関係が「ちゃらんぽらん」なタイプは、ハマる危険が比較的少ない。

 そして「目立ちたい」「褒められたい」といった欲求が助長されるのもバーチャルリアリティー(仮想現実)の特徴である。墨岡院長が続ける。

 「ネットの世界は匿名なので、現実とはまったく別の世界。いわば自我が肥大化する、そういった錯覚の中にある。従って、例えばインスタでいい写真を上げる、奇抜な写真をアップする、そういった方向に走ってしまうわけで、自己満足でしょう。そして“いいね”などフォローの数が増えていけば、とてもうれしいという。すなわち、他人から認められた気持ちになるのです。認められたいという欲求は、やっぱり現実の世界では認められてはいないという裏返しの問題があると思います」

 充足されない「心の隙間」を埋めるのがスマホだとしたら、満たされぬ現実からそこに逃げ込むことは、一時の安息には必要かもしれないが、いったんそこから抜け出せなくなったとき、待っているのは行き場のないむなしさの泥沼だ。それは便利さと引き換えにある現代の闇なのかもしれない。