心臓に問題があるか否かを調べるための基本検査は、前回までに取り上げた「聴診」「血圧測定」「胸部エックス線検査」「心電図検査」の4つ。ここで少しでも異常がある場合は、次の検査が行われます。それは「ホルター心電図検査」「運動負荷心電図」であり、「心エコー(心臓超音波)検査」かも知れませんし、「胸部CT(コンピューター断層撮影)検査」「冠動脈CT検査」「心臓カテーテル検査」かも知れません。

 4つの基本検査で病気が疑われる人は結構多い、と私たちは感じています。何かあると循環器内科へ紹介され、より精密な検査で異常を追究することになります。

 拍動の回数が多くなったり、少なくなったり、また、リズムが乱れたりするのが「不整脈」です。心電図検査でそれがあるか、心電図上になくとも本人に「動悸(どうき)がする」などの自覚症状があると、ホルター心電図検査が行われます。これはホルター心電計という装置を付けて24時間の心電図を記録する検査。この検査を行うことで、不整脈か否かは決定できます。

 運動負荷心電図は、冠動脈に血液が流れにくくなる「狭心症」を疑わないと行いません。狭心症のある人は、普段は正常な人と心電図に変わりがない。しかし、発作が起こると心電図に異常が出てわかります。この発作は運動によって誘発されるので、運動負荷心電図なのです。

 また、胸部エックス線検査で心肥大の所見があるようであれば、心エコー検査を行います。この検査は人体に無害で、心臓の大きさ、動き、心臓の形や壁の厚さがわかるにとどまらず、血液の流れの速さや方向もわかります。心肥大の原因が高血圧なのか、心臓弁膜症なのかもわかります。それによって、循環器内科医は外科に紹介すべきかどうかが判断できるのです。(取材・構成=医学ジャーナリスト松井宏夫)