<信頼できる心臓外科医とは(7)>

 信頼できる心臓外科医とは-。難しく考えることはありません。「話している時に誠実さがある」「きちっと目を見て話す」、つまり、医師としてではなく、人間として信頼できるかどうか、それが一番です。その後にくるのが、「自分の手術成績をきちっと話せる」ことです。手術を受ける患者さんはここを気にしますが、当然のことだと思います。

 心臓外科医の中には、手術成績を自分のデータではなく、発表されている文献を引き合いに出して話す人がいます。自分自身のデータがないから、文献を持ち出して話すのです。手術症例数が少ないから、かもしれません。

 また、手術数はそれなりにあっても、自分の手術成績をフォローしていないか、フィードバックしていない。やりっぱなしです。自分の手術を分析していない。それでは手術がうまくても、真実がありません。これだけの手術をして、死亡率は何%、再手術が何%などときちっと挙げ、解析したものを患者さんに伝えなくてはいけません。

 私の場合、大動脈弁疾患の手術での「自己心膜を使用した手術」は、データがきちっとしています。私が開発した手術なので、私のデータは世界のデータになります。だから、他の文献を出すなどといったことはありません。

 信頼できる心臓外科医は、まず「人間として誠実である」、次に「自分自身の手術成績をきちっと教えてくれる」ことがポイントです。自分自身の手術成績を尋ねられて「100%と答える医師」、また「答えてくれない医師」だった場合は、手術を受けるべきではなく、他の心臓外科医を探すべきです。(取材・構成=医学ジャーナリスト松井宏夫)