以前に、女性の涙のにおいをかいだ男性は血液中の男性ホルモンが少なくなり、女性に対して性的魅力を感じなくなる-という報告をご紹介しました。

 今回は、なんと名曲が性欲の抑制にリンクしているという報告です。それはモーツァルトの音楽を聴くと、性欲が抑えられるというものです。どういうことでしょうか?

 モーツァルトの音楽を聴くと、気持ちが穏やかになり、脳にアルファ波という電気信号が出ます。性欲が高まっている時は、脳はアルファ波が少ない状態ですから、モーツァルトの音楽を聴くことで、脳のアルファ波を多くし、性欲を抑えてくれるのかもしれません。

 ちなみに、“モーツァルト効果”といって、モーツァルトを始めとするクラシック音楽を聴くと頭が良くなるとか、健康になるとか、そういう効果とは、関係がありません。

 逆に、男性にとって魅力をそそられる女性とは、どんな傾向があるのでしょう? それはストレスの少ない女性、です。

 フィンランドの研究チームが、20歳前後のラトビア人女性52人にB型肝炎ウイルスの予防接種を行い、免疫反応とコルチゾール値を測定しました。その後、異性愛者の男子学生18人に女性たちの顔写真を見せ、魅力度を評価させたところ、(ストレスを受けた時に出るのがコルチゾールというホルモンだが、その)コルチゾール値の低い女性たちが魅力的だと評価される傾向にあったとのこと。

 研究チームの1人である生物学者のマルクス・ランタラ教授はこの結果について、ストレス過多は生殖能力を抑制するので、よりコルチゾール値が低いリラックスした顔を好むように進化してきたとしても不思議はないと、結論づけたそう。

 ◆森田豊(もりた・ゆたか)1963年(昭38)6月18日、東京都生まれ。秋田大医学部、東大大学院医学系研究科修了。米ハーバード大専任講師を歴任。現役医師として活躍すると同時に、テレビではコメンテーターのほか、「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)など人気番組の医療監修も数多く務める。著書は「今すぐ『それ』をやめなさい!」(すばる舎)「ダイエットはオーダーメイドしなさい!」(幻冬舎)「ねぎを首に巻くと風邪が治るか?」(角川SSC新書)など。気分転換は週2回のヨガ。