いきなりですが、問題です。「睡眠不足になると太る?」。

 答えは「ホント」。

 米国のローレンス・J・エプスタイン先生によると、成人の理想的な睡眠時間は、1日に7~9時間なのだそうです。でも、05年に全米睡眠財団が行った調査では、米国人の平均睡眠時間は6・9時間で、これは、19世紀よりも約2時間、そして50年前よりも1時間少ないという結果でした。

 また、その人にとって最適な睡眠時間は、遺伝子によって決まっている可能性が高いという報告もあります。

 さて、米シカゴ大学の研究チームによると、睡眠が不足すると、ホルモンの分泌が不安定になって食欲が高まり、満腹感を感じにくくなるのだとか。

 要するに、肥満と糖尿病のリスクが高まるという報告なのです。ほかにも、睡眠不足と肥満との関係を明らかにする、いろいろな研究が報告されています。

 特に、子どもにはその傾向が強いようで、高校生くらいの年齢を対象にした、米ケース・ウエスタン・リザーブ大学のスーザン・レッドライン先生の研究によると、1日に8時間以上寝ている子どもと比べて、6、7時間寝ている子どもが肥満になる確率は、2・5倍以上もあると報告しています。

 寝る子は育つ、ならぬ、寝ない子は太る。やっぱり、子どもはよく寝ることが一番のようです。また、睡眠不足になると、高カロリー食品を食べたくなるという結果も。米カリフォルニア大学の研究によると、睡眠不足が脳活動の変化を引き起こし、強い空腹感を感じて、太りやすい高カロリーの食品を食べたくなる、という証拠を発見したと、発表しました。

 最新の研究では、睡眠不足になると、空腹ホルモン「グレリン」が約15%増え、満腹ホルモン「レプチン」は同じくらい減ってしまうということです。

 ◆森田豊(もりた・ゆたか)1963年(昭38)6月18日、東京都生まれ。秋田大医学部、東大大学院医学系研究科修了。米ハーバード大専任講師を歴任。現役医師として活躍すると同時に、テレビではコメンテーターのほか、「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)など人気番組の医療監修も数多く務める。著書は「今すぐ『それ』をやめなさい!」(すばる舎)「ダイエットはオーダーメイドしなさい!」(幻冬舎)「ねぎを首に巻くと風邪が治るか?」(角川SSC新書)など。気分転換は週2回のヨガ。