お酒を一緒に楽しむカップルは長続きする-という研究結果が、世界各地で出ています。まずは雑誌「コスモポリタン」オーストラリア版。対象となったのは、50歳以上で2人ともお酒を飲む場合、夫婦は円満な関係を築いていたらしいです。

続いて、米ミシガン大学の心理学者、バーディット教授らが発表した調査結果。この研究は既婚者カップル2767組に実施したアンケート調査をベースにしたもので、結婚年数が平均33年以上という、ベテランのカップルです。アンケートでは「1週間に何回、お酒を飲む機会があるか」。また、「飲むときの分量」を聞き、飲酒の際に相手が「しゃくに障る」「注文が多い」などと感じるか、をヒアリングした。

その結果、「2人で一緒にお酒をたしなむカップルは、恋人との関係を長期的に見た場合、相手に対してマイナスな印象を挙げないことのほうが多い。特に妻の思考に違いが見られた」との内容だったとか。

さらにこの研究では、50歳以上のカップルでは、2人がお酒を飲む、またはともに飲まない場合、より良い結婚生活が送れていることが分析できたといいます。一方、どちらか一方が飲み、片方は全く飲まないカップルは、結構生活に不満を抱いているケースが多いこともわかりました。

要は、「飲むお酒の量ではなく、お酒を飲むか、飲まないか、という点が大切。自由な時間を共に過ごすカップルは、結婚生活の質も同時に高くなるということに由来しているのでしょう」と、同教授も述べています。

さらに、お酒と夫婦仲の因果関係について、ニューヨーク大学バファロー校での調査。夫婦どちらか一方が大酒飲みの場合、約50%近い離婚率があったのに対し、夫婦ともに1度の飲酒でグラス6杯以上(泥酔近くまで)飲むカップルの離婚率は約30%でした。これは、夫婦ともにあまり飲まない、もしくはまったく飲まないカップルと比較しても同じくらい離婚率が低いことが判明しています。飲みすぎは体には悪いですが、どの調査結果を見ても、夫婦仲の良さに、意外にもお酒が「触媒」として貢献していると言えそうです。

◆森田豊(もりた・ゆたか)1963年(昭38)6月18日、東京都生まれ。秋田大医学部、東大大学院医学系研究科修了。米ハーバード大専任講師を歴任。現役医師として活躍すると同時に、テレビ、ラジオでコメンテーターとして出演多数。テレビ朝日系の人気ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」の医療監修をドラマ立ち上げの時から務め、今年10月に新シリーズを迎える。気分転換は週2回のヨガで、15年あまり継続。インスタグラムdoctormorita、ホームページmorita.proなどで情報発信中。