医師で作家の鎌田實氏の新連載「ピンピンひらり最新健康法」を展開中です。71歳の鎌田氏が、長寿時代の今、ピンピン健康に生きて、痛みや苦しみとは無縁で、ひらりとあの世に行きたいという自身の願望を込めて執筆。

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第14回「どんな選択も自己決定から始まる」

◆インフォームドチョイス

ぼくの外来にきた、悪性リンパ腫の85歳のおじいちゃんは、ドクターである息子さんの前で、「もう十分生きた。痛いことはもう嫌だ。抗がん剤治療は受けたくない」とはっきりと言い、息子さんも納得してくれました。以前、「インフォームドチョイス」(医歯薬出版)というタイトルの本を書きました。鎌田の造語です。説明と選択。インフォームドコンセントは、説明と納得。納得もいいけど、自分で選択する方がよりかっこいいと思っています。

◆納得が大事

この後、部屋の外で待機していた、お孫さんはじめご家族を、診察室の中に招き入れ、ぼくはこう言いました。「今、おじいちゃん本人が、手術や抗がん剤治療はしないと決めました。ご本人の気持ちを尊重してあげましょう」

◆感謝が広がる

おじいちゃんは、うれしそうな、安堵(あんど)したような表情になり、「ありがとう」とぼくの手を握りました。これでいいんだという顔を全員がしていました。

3カ月ほどして息子さんから、お手紙が届きました。大往生だったとのこと。「ありがとう。思い残すことはないよ。仲良くね」と皆に伝えたそうです。おじいちゃんが皆に感謝をし、息子さんはおじいちゃんやぼくに感謝をしてくれました。

◆コロナを終焉(しゅうえん)させよう

PPKピンピンコロリだと、知らないうちにコロリって逝く感じ。PPHピンピンひらりは、かっこよくぴんぴん生きて、かっこよくこの世を終えていく。PPHを広めたいと思っています。そのためには、まずコロナの流行を止めなければいけません。もうしばらく社会的距離を保ちましょう。がまん。がまん。