北里大学北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟氏が、「ウィズコロナ時代」のロカボ(緩やかな糖質制限)について解説します。ロカボの語源は「Low(低い) Carbohydrate(炭水化物などの糖質)」。新型コロナウイルスとの共生で新しい生活様式が求められる中、食事に気を付けながら、毎日楽しく食べて健康になりましょうと、勧めています。

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良い油、悪い油を整理しましょう。論文レベルでいくと、間違いなくいいのはオリーブ油に代表されるオメガ9です。次が酸化防止に留意したオメガ3(魚脂のEPA、DHAやエゴマ油、アマニ油)です。日本人なら飽和脂肪酸(バターなど動物性脂肪)も良い油と言えるでしょう。リスクをはらんでいるかもしれないが、制限しなければならないほど悪くはないと私が考えているのがオメガ6(大豆油、コーン油など)になります。

ダメなのは、トランス脂肪酸と酸化した油です。トランス脂肪酸は心疾患との関連が示唆され、世界保健機関(WHO)が2003年に摂取量の制限を勧告しています。マーガリンを作るときなど、植物性の油を固形化するときにできます。欧米のマーガリンはトランス脂肪酸がかなりあって、栄養成分表示が義務づけられていますが、日本の油脂メーカーはトランス脂肪酸を製造段階で除外していると聞きます。

パン、ケーキ、ドーナツなどの材料や、ラードの代用品としてスナック菓子などに使われているショートニングにもトランス脂肪酸が含まれていますが、日本では極めて量が少ないので、消費者庁はトランス脂肪酸の栄養成分表示を義務化していません。

トランス脂肪酸と並ぶのは酸化した油です。エゴマ油やアマニ油は、NHKの「ガッテン!」でも取り上げられて大人気ですが、熱や光に弱く、酸化しやすい油です。

ロカボ(ゆるやかな糖質制限)は揚げ物OKです。唐揚げ、竜田揚げなど積極的に召し上がってほしいのですが、揚げ油は繰り返し使うと、酸化します。ペルオキシド(過酸化物)は胃もたれ感をつくるので、揚げ物を食べて胃がもたれるようなら、酸化していると考えた方がいいと思います。