北里大学北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟氏が、「ウィズコロナ時代」のロカボ(緩やかな糖質制限)について解説します。ロカボの語源は「Low(低い) Carbohydrate(炭水化物などの糖質)」。新型コロナウイルスとの共生で新しい生活様式が求められる中、食事に気を付けながら、毎日楽しく食べて健康になりましょうと、勧めています。

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厚労省は健康づくりの指標「健康日本21」で、野菜の目標摂取量を1日350グラムにしています。目安として、ほうれん草のおひたしは小鉢で70グラム、野菜炒めは大皿で140グラム…など例示されていますが、350グラムは高いハードルです。実際には20~30代で260グラム、最も多い60代以上でも310グラムにとどまっています。

野菜を取らなければと、野菜ジュースやスムージーに手を伸ばす人は多いと思います。しかし、市販の野菜ジュースは野菜の青臭さを消すため、果物を配合し、糖質が15~20グラムもあります。果物が入ってなくともトマト中心に作られています。トマトの糖度は4~5度ですが、最近は10度を超えるフルーツトマトも出ています。6枚切りの食パン1枚で糖質は26グラムですから、パンと野菜ジュースの朝食は、ロカボ(ゆるやかな糖質制限)の1食あたりの糖質摂取基準20~40グラムを超えてしまうのです(しかも、タンパク質、脂質によるブレーキがありません)。

スムージーやコールドプレスジュースも一緒です。野菜だけで作ろうとしたら、青臭くて飲めません。昔、青汁がブームになったとき、八名信夫さんが「まず~い」と言いましたが、あの味になってしまうのです。我慢して飲む物ではありませんから、飲みやすくするため、果物や蜂蜜を入れたくなる。糖質が多くなってしまいます。

野菜は1食120グラムにこだわることなく、彩りよく、満遍なく、好き嫌いなく、しっかり食べるというのがロカボの考え方です。トマトとかニンジン、玉ネギに偏ってしまうと、どれも糖質が多いため、野菜だけで糖質量が20グラムを超え、主食が食べられなくなるかもしれません。個人的にはポトフやラタトゥイユにして、満遍なく、相当量を摂取するようにしています。